書きかけのブログ

詰将棋について書くことがあれば書きます

2016年詰将棋全国大会参加記(2)

握り詰めに詰め上がり「⊥」こんな形があったので、筒井さんに「ちんこ詰めに投票したんですか?」と聞いたら、案の定その理由で投票しようかと思っていたようだった。(結局投票はしてないらしいけど)

参加者コメントのときに女流棋士の山根ことみさんが「詰将棋を解くのが好き」とおっしゃっていたので、さっそく懇親会でデパートへの解答とゲスト解説を依頼してみたがにべもない返事であった。お母様も一緒に参加されていたので「お母さんはどうですか」と言ってみたがやはり芳しくなかった。

その後例年通りに筒井さんがきぐるみを着はじめたので、また山根さんのところに行って「きぐるみ着ませんか」と言ったけどこれもだめ。でもなぜか松山将棋センターの児島さんが着てくださることになった。久保さんや山路さん、水上編集長も入れて記念撮影をしたが、これをネットに掲載していいのかは不明である。

二次会は大きく二手に分かれているようだった。片方は始まりが遅いのと、いつものメンバーという気配だったので、趣向を変えて大会スタッフや中国四国地方のひとが多く参加してそうなグループに向かってみた。そこで竹村孔明さんに見せてもらった作品がこちら。

2014年6月 竹村孔明氏作

29桂、同と、28銀、同玉、46馬、18玉、36馬、28玉、
37馬、18玉、27銀、17玉、26銀、18玉、27馬、19玉、
18馬、同玉、17龍、
まで19手詰

取らず手筋の29桂〜28銀は一目思いつく手順。しかしその後ミニ馬鋸で近づく発想がなく、解くのに苦労した。「詰四会で発表したあの短編すごくいいですよね。並べてください」と話を振られて竹村さんが並べたのがこの図だったが、並べてほしかったのは別の図だったらしい。上図は作者お気に入りの作品とのこと。別の図の方は短編名作選に収録されるとかされないとか。

倉敷の夜はまだまだ続く。

2016年詰将棋全国大会参加記

おぼつかない操作の柿木将棋で作意をなぞるだけの解説。もし自分が2年後の東京大会で幹事をやることになったら、真っ先にあのコーナーから改善します。

握り詰紹介は良い企画だったけど、作品に恵まれなかったのが残念。駒種が悪かったかな。久保さんとは「柿木感が強い」という感想で一致した。

ミニ詰将棋解答選手権。作品の半分は 片山倫生作と聞いて「すごい!」と思ったけど、参加者紹介での片山さんの言葉を聞くに、あれは全部既発表作だったのかな。さすがに15題も新作用意できないか。しかしそう考えると全て新作を揃えてきた去年の大阪大会はすごい。

今回、書籍販売のコーナーで詰パラ約300冊が3万円で売られてたんだけど、誰にも買われてなくて、仕方なく第一部と第二部の間で柳田さんが「1万円に値下げします」って宣言したんだけど、なぜかマイクを使わずに喋ったせいで全然伝わってなくて、結局誰も買わなそうだったので、買った。買ったあと隣に置いてあった「盤上のファンタジア」を物欲しそうに眺めていたら竹村さんがおまけでつけてくれた。めっちゃ得した気分だったけど、そのあと配送でヤマトに3000円とられた。うーん。まあでも得。

それとは別に生まれ月のパラも100円で購入。生まれ年のワインみたいな感じで、生まれ月のパラを買うのが流行らないかなと密かに思っている。

この号の結果稿にめちゃくちゃいい作品が載っていたので我が物顔で紹介したい。

1984年10月 中原信治氏作

68角、25玉、45龍、35金、34龍、同金、69角、
まで7手詰

取られる位置の限定打から合駒動かしてこの枚数。しかも55歩は不要駒ときている。傑作。

懇親会の話はまた別で書く。

迷宮の王にお言葉ですが(2)

「大崎くんが大橋さんに聞きたいことがあるらしいよ」と角さんが言って大橋さんと語る場が開かれた。そこで聞いた話。

kakikake.hateblo.jp

大橋健司氏作 平成3年度看寿賞中編賞「迷宮の王」

まず聞きたかったのは、初手が必要なのかということ。 その後の手順と比べると異質な初手は、いまの作家なら大半が省くのではないかと自分は思っているが、当時の大橋さんは初手58龍の紛れを入れたかったのだそうだ。

なるほど、まあ、入れたかったのなら仕方ない。仕方ないというか理解できる。入れたい手は入れるのが作家だ。 ただ、いずれ作品集を出すときは図を変えるかもしれないともおっしゃっていたので、やはり時代に応じた価値観の変化はあるのだろう。

もうひとつ聞きたかったのは歩でもよいはずの45がなぜ香なのかということ。

それの答えは面白かった。完成図を得たときに45には香がいた。それは創作や推敲の中で、ある瞬間には香でないといけなかったのだ。そして完成に至った。そのときに改めて45の駒を歩に変えて、再度頭から検討し直すだろうか。

これも柿木将棋のある現代なら別の話だが、やはり当時では大きなリスクだったに違いない。 (とはいえ投稿直前に魔が差して浅い検討で駒配置を変えることは、いまの作家でもよくやるミスで、そういう図はだいたい潰れている)

ところで「迷宮の王」の初手については久保さんの指摘がとても良かったので、それもついでに取り上げたい。初手を開き王手にする案だ。

初手45香の一間上がり。45だと後で邪魔になるが、45に上がるしかないのだ。43香も初手香成の防ぎに役立っており味がいい。さすが平成生まれ。

詰将棋解答選手権2016参加記

半期賞予想をしてる途中で早くも詰パラ4月号が届き、結果を知ってしまった。 大方予想通りだったけど、唯一外れたのは自作が半期賞じゃなかったことくらいだ。おかしいな半期賞だと思ったんだけど。


昨日、解答選手権に参加してきた。参加と言っても選手でも運営でもないので、ただの打ち上げメンバーだ。 エンジョイ勢も多い全国大会に比べて、解答選手権の打ち上げはガチ勢が揃っているなという印象だった。

一方自分はというと馬屋原さんとデパートの在庫をほとんど空にしたり、6月号で出題予定の知恵の輪作品をもらったり。 会場になぜか若い女性が2人もいたので聞いたら、女流棋士と女流アマ名人とのことらしく、寡聞にして存じあげず申し訳なかった。

打ち上げで出題された、次号の将棋世界に載る若島さんの作品が大問題。 伊藤果さんや行方さん、竹中さん含めみんなでよってたかって1時間くらい考えたのに、それでも解けなかった。 結局最後は竹中さんが詰ませたものの、難易度設定はたしか「10分で初段」とかそんな感じだったので、ぜひ来月の将棋世界で確認してほしい。

二次会を経て、伊藤果さん、若島さん、馬屋原さん、會場さんで三次会。午前2時まで詰将棋について語り、解散。馬屋原さんは今日無事に出社できたのだろうか。

ちなみに作品集のタイトルが読者に対して挑戦的であることは作者も自覚しており、それについてはあとがきでわけを説明しているそうなので、こちらも確認されたい。


解答選手権への応募は2作送っていずれも不採用。うち1作は難しすぎて、相馬作と並ぶと(時間配分の)バランスがとれないので最後に落ちたらしい。 来年は並んだときに逆に相馬作を落とすくらいの作品でまた挑戦したい。

自分の好みは⑩。じゃ当たり前すぎるので③。 肝心の初手の紛れが、解答選手権では読んでもらえないのが惜しいけど、若島さん曰く(解答選手権の場でも、紛れ筋と分かっていても)紛れを読むのは作品に対する礼儀とのこと。

2015年下半期賞予想 高等学校

高校は2.79が期末で2題。

2015年11月 高21 谷口均氏作

48銀、同玉、59角、58玉、68飛、47玉、49飛、同銀不成、
39桂、57玉、46銀、同玉、48飛、37玉、18飛、
まで15手詰

とどめ駒の59角をはじめに打つあたり丁寧な逆算。

2015年11月 高25 有吉弘敏氏作

45角成、66玉、76金、57玉、56馬、同玉、58香、同金、
55飛、同玉、57香、同金、56香、同玉、34馬、同飛、
66金打、
まで17手詰

気付きづらい初手から収束のたたみ込みまで。評価が高いのもうなずける。

しかし半期賞は次の作品と予想。

2015年8月 高7 片山知氏作

23銀、同飛、13歩、同飛、32飛、22銀、同飛成、同玉、
32と、同角、31銀、23玉、33馬、同玉、34金、
まで15手詰

つけいる隙のない完成度の高さ。初手に捨てた銀が、あとで合駒で戻ってくる構成。本当に初入選?

これ以外に良かった作品も挙げておこう。

2015年10月 高18 青木裕一氏作

46金、26玉、53角成、44歩、35角、16玉、28桂、同と、
17歩、25玉、52馬、34歩、14銀不成、同玉、41馬、同飛、
24金、
まで17手詰

作者の言葉には「打診?何ですかそれ?」とあるが、44歩中合は成駒に打診中合したと錯覚してしまう一手だ。 (実際には馬を近付けて52馬の合駒稼ぎを防ぐ手かな?)

2015年10月 高19 斎藤光寿氏作

47角、96玉、97歩、同玉、25角、96玉、97歩、95玉、
69角、94玉、95飛、同玉、96歩、94玉、95歩、同玉、
97飛、
まで17手詰

打歩詰回避のために飛車の横利きを止めるのを2回繰り返す。しかも角で。ダイナミックに。 収束を69角からにしたのも非常に上手いが、この形で47桂合を見落としたのは不思議だ。 43歩は61角成の防ぎであるとともに、47歩合の防ぎでもあるので、作者も47中合は読んでいたはず。

ところで手元のデパートの投稿用紙ではサイトウのサイは「齋」になっているが、本誌では簡略化されてしまうのだろうか。

2015年下半期賞予想 中学校

2015年7月 中21 千葉豊幸氏作

23角、同龍、57桂、46玉、47銀、同と、24角、同龍、
58桂、同と、37飛成、
まで11手詰

この作品が前期の最高点2.85。 自分も結果稿を見た瞬間に面白いと思ったので、半期賞と予想する。

遠くから打てる角を、あえて一路近づけた限定打2回で玉方龍を1マスずつ運ぶ手順のユーモラスさ。 担当が「高評価を得る作品とも思えなかった」と書いたことには驚いた。

2015年下半期賞予想 小学校

前期の小学校で2.7を超えたのは5手詰の作品2つだけ。

2015年9月 小15 鈴川優希氏作

34馬、43飛、73桂成、同飛、61馬、
まで5手詰

2015年9月 小14 石川英樹氏作

55香、62玉、66香、同馬、26馬、
まで5手詰

鈴川作が2.74で、石川作が2.73。

奇しくもこの2作は3手5手特集(と担当が書いたわけではないが)の号で同時に出題された。 7手と並ぶと5手はどうしても見劣りするので、そういった形で出題された方が点数も伸びやすいのかもしれない。

しかし鈴川作には90度回転させた岡村作が、佐藤作にはほとんど同じ5手の先行作があり、それで半期賞というのも個人的には違和感がある。

見返すと小学校は豊作だったように思う。

2015年7月 小3 武島広秋氏作

69角、24玉、28龍、同馬、44龍、同銀、34銀成、
まで7手詰

邪魔にならないところに遠開き。何よりその後の大駒捨てが手馴れている。2.48。

2015年8月 小7 深和敬斗氏作

47銀、同桂成、37銀、同成桂、27銀、同成桂、47銀、
まで7手詰

初手27銀は同桂生が逆王手。そこで47銀から遠回りして27成桂を実現する。これもある意味「成らせ」だろうか。2.40。

2015年10月 小16 久保紀貴氏作

39角、55玉、45飛、
まで3手詰

なんとなく左上に飛び出したくなるところ。17角を狙っての39角は気付かない。2.41。

2015年11月 小21 青木裕一氏作

54馬、26玉、35龍、同玉、36金、
まで5手詰

どうやっても逃げられそうなところ、馬そっぽでぴったりつかまっている。盲点に入ったのは実は3手目かもしれない。2.56。

いい加減引用しすぎだが、いい作品だらけなので仕方ない。

2015年11月 小22 武島広秋氏作

49飛、56玉、45角、同龍、66馬、
まで5手詰

この手の飛車の遠開きはよく見る筋ではあるが、この駒数と手数でまとめて、角の短打も入れたところに価値がある。 歴史に残すために本作が半期賞でどうだろう。2.53。

2015年11月 小25 柳原裕司氏作

39香、24玉、27龍、14玉、47角、同龍、32馬、
まで7手詰

邪魔にならないという点で小3武島作の遠開きと通ずるところがある。 遠打は遠開きと違って中合の変化処理をしなければならないが、本作はうまく処理してある。2.63。