半期賞が発表されたので予想の振り返りを行うのである。 まだ10月号が届いていない方にはネタバレになってしまうので気をつけてほしいのである。
予想は初入選にして上半期最高点の小20。しかし受賞は同点優勝の小5の方だった。
三輪さん自身も半期賞候補が複数あるときは「半期賞の受賞回数の多い人を落とす」と書いているので、小20が半期賞でもよかったと思う。
大方の予想通り中24。受賞の言葉で「中合を動かす展開はマンネリ」なんて言い出すあたり、この作者本当に新人なのだろうか。
どうでもいいが最終手は「25と」に限定されていると思う。
高10は下馬評通りとして「高校の上半期最高点は2.76が2作あるが、どちらも自分の好みではない」とノーマークだったところからもう1作受賞してしまった。
2015年3月 高15 清水透氏作「メルモ」
13桂成、同香、52馬、15玉、95飛、35桂、25飛、16玉、 15飛、同玉、16歩、14玉、94飛、同角、15歩、同玉、 25馬、 まで17手詰
「打歩詰を避けるために玉の可動可能場所を新たに設ける為、事前の5手目に94飛の利きを一旦外しておく」という作者の言葉が結果稿に載っている。可動可能場所とは馬から落馬している気もするが、どういうことかというと4手目の局面。
ここから25飛、16玉、15飛、同玉とやって16桂を間接消去すると打歩詰になる。そこから95飛と引いても14玉でやはり打歩詰だ。
そこで図から先に95飛と引く。これには14玉とできないので、やむなく35桂合だが、そうしておいてから25飛、16玉、15飛、同玉とすれば16歩が打てるという算段である。
ほどよくまとまってはいるが、目を見張る構想、妙手というわけでもないので半期賞は意外だった。
評点は上半期最高。104人中34人が誤無解とのことなので、高校の半期賞は割りと解答者からの評価が重視されているのかもしれない。
一方解答者の評価を軽視しているのが短大。評点2.61の短13が半期賞だが、これは詰工房でも高評価だったので分かる人には分かる良さなのだろう。ちなみに私は分からない。
大学は3作選べと言われればこれになる妥当なチョイス。 鈴川さんの受賞の言葉「若手作家としての自分の立ち位置についてふと考えることがあります」のくだりは名文だと思った。大11ではなく大2が半期賞をとったのも、彼らしさの表れか。
大学院は院10「来たるべきもの」が評点トップじゃないということをご存じだろうか。 私は詰工房で馬屋原さんに教えてもらった。
@sasikake 1月号の佐藤氏作が2.96です(訂正があるので、4月号でなく6月号80ページを参照)。
— taka-o (@route188) 2015, 9月 27
2015年1月 院1 佐藤和義氏作
安武さんも新年号からなかなか攻めた選題をするもので、本作合駒13回の117手で評点2.96を勝ち取り「来たるべきもの」も抑えてそのまま半期トップである。
「来たるべきもの」は看寿賞がほぼ確定しており、悪くても特別賞にはなるはずなので、いっそ半期賞は院1に送るという手もあったかもしれない。