書きかけのブログ

詰将棋について書くことがあれば書きます

位置エネルギーは落ちてくる(4)

のんびり会の忘年会で糟谷さんに教えてもらった間接打診の先行作は、実はウェブでも公開されている作品で、自分もおそらく15年前くらいに見ていたはずのものだった。 (だけど間接打診からこの作品は思い出せなかった)

発表年不明 青山雁氏作

22角、33歩、44角、46玉、13角成、37玉、38歩、36玉、
35馬、
まで9手詰

初手、普通に33角と打つと、46玉、13角に35歩合で詰まない。

先のページにはこれを打診中合と書いているが、13が馬でもどのみち35歩合とするしかないので、ただの捨合と見るのが一般的だろうか。 (先月の短コンの志賀作同様?

作意は初手22角。これに46玉と逃げると13角生と手持ちの角を温存する手があり、

先ほど同様に35歩合は同角生、37玉、38歩、36玉、47角で詰み。 ここで24歩合は文句なしの打診中合で、これを同角成なら35歩合で、同角生なら37玉で詰まない。

しかし24歩は二歩で打てない。ではどうするか。久保作、糟谷作、岡本作を見てきた今ならすぐに分かるだろう。初手22角の瞬間に33歩の間接打診中合だ。

これを同角生と取っても、46玉と逃げられ、24角で成るか成らないかを決めざるをえない。まさに間接打診である。

作意はこれを取らずに44角と重ね、46玉、13角(成生非限定)とした時に、35歩合が打てれば初手33角の紛れと同じように詰まないが、33歩を発生させたおかげでこの局面では35歩合が打てなくなっている。

この33歩の発生による二歩誘致が本作の狙いであり(その狙いの部分で作者自認の大きな欠陥があることは間接打診には関係ないので省略)間接打診はあくまで手段に過ぎない。間接打診のエッセンスを抽出してスポットライトを当てたのは久保作が初と見てよいだろう。

発表年が分からないが、忘年会では岡本さんの作品よりも前と聞いた気がする(記憶が曖昧)もしそうならこの作品が間接打診の一号局ということにはなるのかもしれない。