書きかけのブログ

詰将棋について書くことがあれば書きます

第2回 詰将棋サイコロトーク 最短距離で駆け抜けるよ編

前回の続きです。

相馬さんの歩の連続合が看寿賞じゃないのが驚きでした。


2022年6月 相馬慎一

85飛成に55歩と普通に受けると45馬左、24玉、62桂成と進み、15玉は16馬、同玉に96龍引があるので受方は歩中合で94龍の位置をずらしたい。44と55は二歩で打てず、85龍との交点に84歩と打つしかないが、これにはどちらの龍でも取らずに74龍!と入るのが好手で、以下、15玉、16馬、同玉、76龍、56歩、同龍、同と、27金、15玉、16歩から詰む。74龍と入ったところで84龍左や84龍行と歩を取ってしまうと4段目に龍の利きが残って最後の16歩が打歩詰で打てなくなる。戻って受方の最善は85飛成に75歩!と龍に近づけて中合する手。こうしておくと45馬左から先と同様に74龍まで進んだときに75歩が邪魔で76龍と引けなくなっている。同じ論理で75同龍にも65歩が最善で、65同龍、55歩と3連続の歩合を経て収束する。

去年の受賞作とロジックが被る部分があるのが嫌われたんですかね。


2021年7月 相馬慎一

馬をダブらせるための連続合。

去年の作品はすごすぎたけど、相馬作が去年から今年にジャンプした幅と、これまでの連続合の作品がそれまでの作品からジャンプした幅を比べたときに決して劣ってるとは思わないです。

玄人じゃないと理解できないところがあるんですよ。
選考委員は玄人でしょう。背景を理解しないと「連続合ですね」で終わっちゃいます。
作品としては今年の方が好きです。構造が伝わりやすいので。
去年は何やってるか分かんなかったです。
去年は収束の繋がりもタイミングがずらされて、関係ないところで悩みました。今年の作品はロジック通りに最大限繰り返して収束に入るので表現として伝わりやすいなあと。
岩村作が2作受賞するなら片方相馬作にしても良かったと思うんだけどなあ。私はこれが去年のベストワンだと思ってました。連続合で新しいことをするのがどれだけ難しいか。
合駒も去年は2連続で今年が3連続ですしね。
去年は破調があるので1.8くらいの印象です。
荒野の七人は特別賞に回して相馬作が受賞してほしかったな。


2022年11月 岸本裕真 幻日環

7種合x3

幻日環は言わずもがな
これが取らないとなんのための看寿賞か分からないですよ。よく手順構成を考えましたよね。
特にこの57角がすごいです。
いやでも正直全部すごいですよ。作れって言われても途方に暮れそうです。
2周してもすごいのに。
2回やれば十分だと思ってたけど3周目いくのはさすが執念ですね。2回は趣向ではないけど一応あるから。


1981年12月 深井一伸 七対子

7種合x2

全然違いますよ2と3では。
それはそう。
やってる途中で2に妥協しようと思った日もあったと思うんですよね。
逆にここまですごい作品だから妥協したくなかったのもあると思いますよ。最後なんて詰んでるだけですごいんだから。
逆算で合駒だしていったらしいですね。
部分部分で見せてもらってて、香合桂捨ての部分を見たときは、完成はまだ先かなと思ってたら、いつの間にか全部うまいことくっついてました。
不思議だよね。なんで七種出るのか。
素晴らしいです。誰もが文句なしの受賞でしょう。


2022年9月 井上徹也・馬屋原剛

龍追いで発生した歩合を遠くから馬鋸で取りに行く趣向作。

趣向のところはいのてつさんに聞いてた気がします。
うまくんに合作をお願いするときに久保くんもいたかも。
自分もなんかの会合で見せてもらった記憶があります。
2014年ののんびり会とかですね。
そんな昔?
結局作りきらないで10年くらい放っておいたんですけど、お蔵入りにするのもなと思って、ちゃんと作り上げてくれるだろう馬屋原さんにお願いしました。
責任感と作図力のある。
一度複合馬鋸で取った歩が復活するという新しいテーマで、なんでぼくがこんなに苦労したかというと、この作品は2回繰り返すんですけど、3回できると思ってたんですよ。そこがうまくいかなくて、2回で妥協する踏ん切りがつかないというのもあって。
結局2回で妥協したということですか。
そうしないと収束できないんですよね。趣向はポテンシャルがあって、自分でも面白いと思ってます。
馬鋸で取る歩が龍追いで復活するのは初めてなんですか?
初めてですね。収束も龍とか馬を捌いて、うまくんの作図力で素晴らしい収束をつけてくれたんで、完成度もあるかなっていう感じですかね。
例年なら文句なく満票の看寿賞でしょう。


2022年2月 石本仰

14歩の打歩詰を巡り、角打香合、香打角合で盤面が少しずつ変化していくなかに13歩邪魔駒消去や29香最遠打といったキーが仕込まれた知恵の輪作品。

石本さんの作品が2票。
石本さんは長編の中で手数が短いので損してると思うんですよね。いつもいい作品なんだけど、長編の枠だから看寿賞取れてないんじゃないか疑惑があります。
長編と超長編でわけてくれてもいいですよね。
この作品もすごいです。中編賞間違いなしぐらいの感覚です。
29香のタイミングとか面白いし、62飛が最後32に動くんですけど、62にいるときじゃないと角が打てないってのがあって、飛の利きで56角が限定打になってるんです。そういう細かい作りもかなりこだわっていて。
これ傑作でしょう。さっきの2作が取ってこれが取らないのは分かるけど、もったいないというか、別のジャンルとして評価してあげないといけないんじゃないのっていう作品には感じますよね。単純にどっちが上といえる作品ではないじゃないですか。
風みどりさんも心の中で中編枠を拡張しての投票でした。
他には天動説もあったのか。


2022年3月 岸本裕真 天動説

55の攻方王が2回動く双玉煙。

一次投票では候補になってましたね。
今年は対抗馬が強かったですね。そのなかで石本作2票入るくらいなんだからって気はしますよね。わりと奇跡的な出来だった気がします。なかなかこう上手くキー入んないんじゃないのっていう。
手数帯が厳しいんですよね。
いまの制度上はしょうがないけど、こういう作品が出るたびいつも思ってます。
8手削るわけにもいかないもんなあ。
看寿賞のために手を削るっていうのはないでしょうね。

ぱっと見は今年受賞作多いなと思ったんですよ。いままで渋ってたのもあって。でもこう見てみるといい作品多かったですね。

いのてつさんも趣向作で岩村さんみたいに過去の作品の系譜にない作品を作るじゃないですか。ああいうのってどうやって考えてるんですか。
今回の長編でいうと起点となったのは伏線的に歩合を発生させておくのにどういう意味付けがあるかっていうのを考えていて、前に作ったのがあったんです。


2015年8月 井上徹

23歩成、14玉、13と、同香、47馬、36歩、同馬、23玉、32飛成、24玉、35龍、23玉に24歩と打つと収束ルートだが、打たずに45馬から玉を追い回して26歩合を発生させ、再び局面を戻して24歩と打つ。

すぐに収束に入ると21歩合が利いて詰まないんですね。なのでちょっと回り道をして26歩合を発生させておくと収束できますよと。この作品を作っていて、他に歩合を置いておくと有利になる意味付けとして馬鋸で取るのはどうだろうと考えたのがきっかけですね。
そこを考えたとしてもなかなか繰り返しの中に入れられないですけどね。そこにはだいぶ隔たりがあるじゃないですか。序で発生させておくのとサイクルの中で発生させるのはわけが違うから。
単に発生させるだけだと駒場さんも作ってるし、新しくするには繰り返すしかないかと。


1998年6月 駒場和男 秘宝

序盤に96龍、98歩合の2手を入れ、その歩をあとで馬鋸で取りにいく。


1985年2月 近藤真一 完全犯罪

序盤に99龍、98歩合の2手を入れ、その歩をあとで馬鋸で取りにいく。煙詰。

さすが長編作家だなと思うのは、繋ぎの趣向手順が何も無い空間を追うじゃないですか。知恵の輪みたいな追い方は分かるんですよ。龍とか馬とか使って空間を追っていくのってなかなか難しくて、それはいつ作れるようになったんですか。
うーん
馬鋸部分も飛車合が入って複雑ですよね。右下に追っていく手順との兼ね合いもあるんでしょうけど、その辺がなんでうまいこといってるんでしょう。
無数の可能性がある中でなぜこれが選び取れるんですか。
実は無数は無いんですよ。歩合を馬鋸で取って、また発生させようと思ったら、まず歩合の位置は27でしょうと。
そこはまだいいです
そこから馬鋸できるように左辺に追っていく手順を想像すると、おのずと決まってくるんです。
おのずと?
(笑)
合駒が無いことを利用して追ったりするじゃないですか。その辺が分からないんですよ。
普通は合駒あるからね。
歩合させるのは馬しかないじゃないですか。
馬しかないわけじゃないけど、まあ、はい
歩合発生のために38に馬置いたら馬鋸始めるために55まで戻さないといけなくなってるじゃないですか。それはまあ戻せるだろうってことですか?
戻せるというか戻さないといけないというか、戻せないこともあるんですけど、今回は戻せたんですね。
38馬、27歩合には龍引くしかなくて15玉、37馬、24玉、せっかく歩合あるし26龍かなあみたいな。
そのとき25合が効かないのは当たり前に頭はそっちに働いてるんですか。自分なんかは25金合されたらどうしようってよぎっちゃうんですよね。
そこは考えなくていいでしょう。
答え見たらまあそうかなんですけど、右上3x3の配置と追い方の選択肢はもっとあるじゃないですか。26龍のところで一旦35龍するとか。46馬、23玉とか
それでもできるかもしれないけど遠回りしすぎてる気がしますね。
最短でいこうとしたらこうなるよっていうのを結んでるんですか。
馬鋸のスタート地点の55に馬が行かないといけないから、47桂は配置するでしょうとか。そういうところから全体の手順をイメージしてます。
どうやって55馬とするんでしたっけ。
45龍に44飛合が出るんです。
そこにまた発想の飛躍がありますね。
取って取って55馬、34玉、35飛、43玉、45飛に34玉と戻られて構想が破綻する可能性もあるんですけど、今回はうまくいったんで。それで63玉まで行ったら馬鋸の構図じゃないですか。
繋ぎは遠回りせずシンプルでも、馬鋸は複雑に作ってありますよね。飛車取ったり龍捨てたり。
これはたまたまなんですよ。最初は普通の馬鋸で作ってたんですけど55桂の筋とかで余詰が厳しかったんです。
逆にね。そういうことはありますね。
じゃあ飛車取らせちゃったらいいじゃんってことで、馬鋸の複合化はたまたま入りました。
追うなかで飛車合を出したことで常に飛車合の変化がつきまとうようになったじゃないですか。それって苦労しつつやっていくんですか。毎回ここで飛車合されたらどうしようかなって、それとも飛車合くらいならどうにでもなるだろうって感じですか。
中編作家の感覚からしたら飛車ならどうにかなる感覚ありますよね。香車とかは厄介そうですけど。
あんまり気にしたことなかったですね。飛車合されてもまた取って使えばええやんって思っちゃいますね。
飛車合ならあんまり苦労しなそうな感覚ではあるけど、ただ自分ならめんどくさいから避けれるなら避けたいなって思いながら作るだろうな。
飛打飛合が好きなんですよね。シンメトリーなんかでも使ってますけど。相馬康幸さんの影響もあって。
そんな影響があるんですか。
影響というか好きですよ。あの人の趣向作は。

まだ続きます。

第2回 詰将棋サイコロトーク 岩村凛太朗は細マッチョ編

サイコロトークで集まったけど、せっかくなんで看寿賞について喋りますか。


2022年7月 相馬慎一

馬方作の方が新しい気がします。


2022年5月 馬方四季

合駒を2枚出して動かすのは太刀岡さんの裏短コンに前例がありますが、馬方作は初形がきれいなのと、変化と紛れで桂馬の跳ね違いがあったりで手順に厚みがあります。
相馬作は手順が派手だけどスイッチバックなんですよね。馬方作は大げさにいうとエポックメイキングです。
自分も双玉より単玉を評価したくなります。
相馬作はロジックを紐解けば、そんなに不思議な手順ではないんですよ。
25龍、16玉の仕組みを誰も見つけてないので、ある程度の発想力は必要かと。
みんながこれを目指していればそうだけど。動くと逆王手っていうのは他でも活用されている形なので、そこまで感動しなかったですね。両作受賞でもいいけど、馬方作が上かと思いました。
検索しても太刀岡作が見つけられないです。
それは私が結果稿を上げてないせいですね。
え、じゃあ裏短コンは匿名出題だから太刀岡作かどうかも本当は分かってないってこと?
動画配信で発表はしました。
もしかしてちゃんと結果稿あげてたら前例ありで受賞しなかったとかないですか?
その場合は私のおかげで受賞したみたいなもんですね。
そこは選考の中でちゃんと議論されているので、結果稿の有無は関係ないかと。
看寿賞は前例に厳しいイメージがあったけど今回はセーフだったんですね。まあでもちゃんと見ると太刀岡作は香合香合で打歩詰も絡まないから差はあるか。
合駒制限と双玉も使ってますからね。


2019年11月 太刀岡甫「ボンバーマン

89龍、83香、65角、56香打、47桂、89香成、59龍、同香成、55桂。

相馬さんと馬方さんが同一人物なのってパブリックなんですか?
受賞コメントも別々でやってますね。でも相馬さんのTwitterでは馬方作を自作として紹介してるので、公にはなってると思います。
馬方作は歴史に残りますね。シフマンの話をするときに必ず出てきます。3票しかないのはびっくりしました。他に強い対抗がいるなら別だけど。
他だと鈴川さんの作品とか。


2022年1月 鈴川優希

8筋9筋で小さく角の開き王手を繰り返し、最後に59角とダイナミックに引いて詰み。

これは好きです。受賞してても文句ないです。
あとは斎藤さんの。


2022年4月 齋藤光寿

27桂、24玉で15桂と飛車が取れるところ35金、同飛と逃してから15桂と跳ねる。同じことをもう一度やる。

これもいいですね。好み次第では馬方作よりこっちかもしれないです。駒数は少ないとはいわないけど個人的には妥当な駒数に見えます。
89角は67角にも置けそうという話がありましたけど、構図的に89の方がよくないですか?
自分は67に置けるなら67に置きます。
67の方が小さい意味合いはあるけど、89の方が幾何学的にはきれいですよ。
きれい?
89の方は直角三角形なんですよ。67はいびつな三角形で。ぱっと見たときの印象ですけど。
うーん?これは作者に聞きたいなあ。なんで89に置いたのか。
あまり気にしてないと思いますけどね。
気にしてなかったらコンパクトに67に置くと思うんですよね。詰パラって6筋に収めると図がちょっと小さくなるんで、6筋に収まるなら収めたくなります。
私は勝手に6筋表示にしないでって思ってます。9x9のデザインで作ってるので。


2022年4月 岩村凛太朗

初手87王に88桂成、同角、77桂成、同角、66桂と受方が3枚の桂を跳ねる。作意後半で攻方も同じように3枚の桂を跳ねる。

テーマは置いておいてもテイストが新しいですね。狙うところそこなんだみたいな。みんなが見てるところと違うところを見てる感じがします。やろうとすると相当難しいけどきれいに作ってありますね。
最初の桂捨てはよくあるけど、これを先手にもやらせようと思うのがすごいですね。
繋ぐ手順構成をうまく作りましたね。
受賞の言葉の半沢直樹ってどういうことですか?
桂馬の三段跳びの倍返しってことですかね。
ちょっと論理の飛躍がありますよ。
そこが天才のゆえんですね。

こっちの作品の受賞の言葉では「いないいないばあ装置」という謎のワードが出てきます。


2022年9月 岩村凛太朗 攻野に並ぶ七人

33歩成、同成桂が21の角による逆王手で、そこで43歩と打つ手は攻方の合駒とみなせる。以下、歩から飛まですべての駒を順番に攻方が合駒で打つ。攻方七種合。

攻方七種合はいつもなんのこっちゃと思ってるんですけど、この作品は見れます。
条件達成しただけだとだからなんなんだですけど、この作品はいないいないばあ装置が詰将棋として面白くないですか。
ここがないとただ流れで出しましたになっちゃいますからね。
七條さんや駒場さんの作り方とは違いますね。
私は、岩村凛太朗は現代に蘇ったスマートな駒場和男だと思ってます。テーマの選び方が駒場和男っぽいんですよ。ロジカルじゃないところにテーマを見出しに行ってるところが。
選考ではトリプルジャンピングアタックは繋ぎの手順が弱いという評もありました。
弱いんだけど、あれで繋がるなら山田修司の59香ばりの上手さだと思いますね。これだけ自然に繋がれば上出来でしょう。
スマートだけど剛腕でもありますよね。繋げていくのは。
剛腕なんだけど力こぶ見せてないんですよ
駒場和男は?
ばりばりに力こぶ見えてますよ。だから岩村さんは細マッチョで駒場さんはゴリマッチョです。


2022年7月 山葉桂

この作品は初めに見たときに看寿賞だなと思ったのを思い出しました。だって七種中合ですよ。
私は最初の仕組みで最後の飛車まで出してほしかったです。いないいないばあ装置だけで七種合は無理そうだけど、山葉作は惜しいので、惜しいがゆえに思ってしまいました。最後の飛車もここで出ないかなって。

中編はどれも受賞級だけど3作受賞は意外でした。どれか外れるかなと思ってました。
會場さんが3作投票したので會場さんのおかげといっても過言ではないです。

長くなったので続きは別の記事にします。

第1回 詰将棋サイコロトーク 山梨富士山編

サイコロを投げて出た目に書かれている詰将棋用語について喋るという、合コンで大盛りあがり間違いなしの企画を思いついたので、いのてつさんとくぼさんを呼んでトライアル開催してみた。カピバラアイコンがいのてつさんで、ネズミアイコンがくぼさん。詰将棋用語は「誰も言わなかった詰将棋用語集」の見出し語を使った。

最小公倍数原理
いきなり重いやつだ。
何すればいいんでしたっけ。
テーマに合う作品を語ったり、無かったら作ったり。せっかくなんで駒種のサイコロも振りましょう。
最小公倍数原理は何作品あるんですか?
伝統ルールだと2つです。
2作目はどういう公倍数なんでしたっけ。
右の飛車の位置と左の飛車の位置ですね。


2017年11月 中村宜幹 ヘミオラ

受方の飛車が63→73→63と往復している間、攻方の飛車は24→14→34→24と動く。73飛・24飛のときだけ収束に入れるが、飛車の動く周期がずれてるので2x3の6回同じ手順を繰り返さなければならない。

あ、これと金知恵の輪だからテーマの「最小公倍数原理+金」になってますね。
「金」と「と金」は一緒なんですか?
「と金」の目も用意してあるので別でした。
実は自分も最小公倍数原理考えてるんですよ。まだ構想段階ですけどxxxがxxxでxxxになって。
それ実現できたら面白いですね。
最小公倍数じゃなくても、3サイクルや4サイクルの趣向って珍しいんですよ。
合駒パクリながらぐるぐる回して品切れ狙うやつは?


柏川悦夫 駒と人生 第18番

86桂、95玉、74桂、94玉~82桂成、74桂合、86桂を4回繰り返して桂を品切れにする作品。

あれは循環しないので。無限に回し続けられないとだめです。
4サイクルで無限ループといえば香4枚の持駒を桂4枚に変えて、また香4枚に戻す田島さんの作品を思い出します。
あれは状態としては香4と桂4の2状態だと思ったけど、香4・香3桂1・香2桂2・香1桂3・桂4の4状態とも見ることもできますか。そういう意味では4サイクルの作品もまあまああるのかな。
この作品が特殊で、あまりないとは思います。


2005年11月 田島秀男

攻方の持駒桂4枚を香4枚に持駒変換して馬鋸を1つ動かしたら、今度は香4枚を桂4枚に持駒変換して馬鋸を1つ動かす作品。馬鋸は合計4回動くので、4枚の持駒変換も4回行われる。収束余詰。

この作品はえぐい。
次のテーマいきましょう。
モデルメイト
手が広いので駒種ではなく、もうひとつ詰将棋用語を出してみますね。
不利逃避
ちょうどパラの今月号(2023年5月号)にモデルメイトの話出てましたね。
「モデルメイトは、玉周辺のマスに攻駒の利きが重複しない詰上りのこと」と書いてあります。
モデルメイト兼不利逃避なんてあります?


誰も言わなかった詰将棋用語集 P16モデルメイトの説明図

44歩を不利逃避で取らせて45歩と打ち返すとか?
フェアリールールにしてみるのはどうですか。モデルメイト以外は詰みと認めない。
ばかならやりやすそうですね。かしこでやったら不利合が簡単に出せそう。45に銀を打たせた方がモデルメイトにならないみたいな感じで。でも作るのは難しそうですね。一見無理な方に逃げてもモデルメイトじゃないからと逃げられちゃいそう。
変化もモデルメイトで詰まさないといけないんですね。
我々、フェアリーに走っちゃいましたけど、(伝統ルールの)モデルメイトも好きな人は好きですよね。逆に不利逃避の方はどうですか。
不利逃避で駒種を決めてみますか。
例えば44玉13金に22馬でヤケクソ不利逃避みたいな感じでどうですか。35玉、13馬、44玉、22馬、33合、同馬、同玉、13飛成。あんまり簡単にできてもつまらないけど。

どうせ取られる駒を先に取らせるのが、どんだけ不利なのかですね。
手数があけば不利感でるけど、すぐ取っちゃうとどうせ取るんじゃんってなりますね。
連取りで歩が並んでるんだけど途中の歩を序盤に不利逃避で中抜きさせておく方が長いみたいなのはどうですか。
ロジックは、連取りで歩1枚取ると攻方が2枚儲かるから連取りではないところで先に取らせておくみたいな?
あとは連取りでは歩が2枚同時に取れるので、片方はあらかじめ不利逃避で取らせておくとか。でもこれ広瀬さんの馬鋸にかなり近いな。


2010年12月 広瀬稔

初手99角に33歩は同角成、同桂、同角成から馬鋸に入り、87歩を取って戻って詰み。43・54・65・76の歩は道中取られるだけの駒なので、2手目から77歩、同角、66歩、同角、55歩、同角、44歩、同角と取らせておく方が手数が長い。

ヤケクソ以外の不利逃避の意味付けとしては退路開けとか打歩詰とかがありますね。
取歩駒の金を不利逃避で取らせても、それで攻方が金を持っちゃうからなあ。
金は打歩詰では無理ですね。一番高くて山梨富士山の角ですよ。
なんですか山梨富士山って。
え、1号局の51角取らせる作品です。
あれ山梨富士山って言うんですか。
はい。作者が。
あ、山田修司さんか。

高木手筋みたいになってて、不利逃避で金をもらえると、逆に別のところで別の駒がもらえなくて、道中金を消費させられちゃうっていうのは?
面白いとは思うけど構図が思いつかないですね。
単なる退路開けなら簡単にできそうですよ。35金15玉で24角に同玉は33銀、15玉、24飛成で詰むことにして、26玉、35角、15玉、24角、同玉、あんまり不利感ないかも。

不利逃避難しいな。
あんまり不利じゃないんだよね。
若島さんも「口が悪いやつは有利逃避と言う」って何かに書いてました。
それを言い出すと不利合も有利合ですね。
次のテーマ出しますね。これサイコロより詰将棋用語カードの方が便利だな。
発売しますか。バンダイナムコから。
誰が買うのそれ。
酒井手筋
酒井手筋のどこの役割を飛車にするんでしょう。
飛車の成生?
久保さんの角成生も酒井手筋ですか?
酒井手筋の定義があいまいっちゃあいまいなんですよ。
いつかの短コンに馬屋原さんが酒井手筋の最短手数を出してましたよね。あれは作者自ら酒井手筋と言っていた気が。


2021年12月 馬屋原剛

初手から46馬、54玉、53銀成は同飛左と43の方で取られて不詰。かといって初手66馬は53銀成に同飛右で詰まない。そこで馬の態度は保留して初手56歩とする。以下54玉、53銀成と先に受方に態度を決めてもらうのが後出しじゃんけんとも言われる酒井手筋。

この方がオリジナルの酒井作には近いと思います。自作が酒井作っぽくないのは、行って戻らないところで、どっちがプラス・マイナスというわけではなく原作とは違う雰囲気になってますね。
久保作は打診ですよね。


2014年9月 久保紀貴

23銀、同玉、14角、13玉、32角成は15角生で打歩詰、32角生は15角成で詰まない。14角を打つ前に26飛と捨てて受方の成生を先に決めさせる。26同角成には14角、13玉、32角成で、26同角生には14角、13玉、32角生で詰む。

打診の目的が相手に先に成生を決めさせることになってます。
この角対角の打診は最近どこかで見た気がするなあ。
森長さんの個展?


2023年2月 森長宏明

54金、同歩に44銀成は13角、66飛、同銀成で逃れ。44銀生は13角、66飛、同銀生で逃れ。44銀の開き王手より先に66飛として受方銀の成生を決めさせておく。

ほんとだ。銀対銀になってるんだ。
この作品が面白いのは飛車捨ての意味が同銀成で取ったときは取歩駒の発生で、同銀生で取ったときは55への飛車の利きの消去なんです。55への利きは44銀成と対応していて。
好きな作品だと思ってたけどそういう意味付けが隠れているのか。
これは成生に明確な大小関係がある角ではできないんですよ。いや、45角不成でできるのかな?まあでも面白い作品です。
森長さんの個展は4番も面白かったです。


2023年2月 森長宏明

初手84飛は73玉、82飛成、64玉、69龍、67桂合、62龍、63歩合で逃れる。初手から79龍、76桂合としておけば69龍、68歩合で次の62龍に63歩合が二歩禁になる。

桂合は若島さんにもあったと思うけど面白いのは禁則ルールを全部使ってるところ?
若島さんは角を逃さない意味合いじゃないですか?
若島さんじゃなかったかもしれないけど、桂合を挟むことで合駒位置を8段目に持っていく作品は見たことがあります。
それこそ森長さんの作品にありますよ。


1992年12月 森長宏明

初手53金は41玉、49飛、47桂合で逃れ。最初に59飛、56桂合の交換を入れておくと49飛に48桂合ができない。作意は48桂成、同飛と桂を捨てて47桂合を実現するが、1枚多く桂が手に入るので詰む。

(個展の作品は)桂合だけ切り出すと禁じられた遊び手筋だけど、それをなんでやるかというと62龍のときに歩合させないためで、なんで歩合が困るかというと歩合だとそのあと75歩が打歩詰になる。連鎖してるんですね。
初手84飛だと69龍、67桂合に62龍、63歩合で逃れなのか。
あれ?67桂合だとそもそも打歩詰にならない?
78龍、76歩合で稼げますよ。
67桂合、63桂合のときは桂が品切れだけど、67桂合、63歩合のときは76桂合ができるから、そうすると打歩詰にならないですね。連鎖してるのは二歩禁までかも。

やろうとしてることは面白いのに鍵が79龍なのが残念なんです。この初手を指すための何かがないと演出としては物足りなくて。

次を最後にしますね。
成香
偶然にも。
いまでたやつだ。
禁じられた遊び手筋好きなんですよ。ほどよいマイナー感というか。将棋指してる人は打歩詰は知ってても、8段目に桂が打てないことは気にしたことないと思うんですよね。
それでいうと上田さんの17角37角が好きです。
8段目桂合不可は打歩詰級に詰将棋のためのルールだと思ってます。
将棋のルールは桂合不可とは言ってないですからね。行きどころのない駒はだめですよと言ってるだけで。
そのルールが結果的に8段目に桂だけが打てない状況を作ったわけですね
上田さんの17角はどこから思いついたのか分からない感じが好きです。このまえシナトラくんと上田吉一論やったんですけど、好きな作品が一致してて良かったです。短編だとこれとか。
短編だとどれですか?
51玉に24角から始まるやつ。


1978年11月 上田吉

それをシナトラくんと2人だけで?濃いなー。
他には若島正論とか相馬慎一論とか。
濃いなー。

禁じられた遊び手筋ってあんまり作られないですよね。
大掛かりになりがちですからね。
でも最近やさしい大学院でありましたよ。割りとオーソドックスで、禁じられた遊びが桂を捨てるところで角を捨てるんです。それ自体は長い伏線になってないんですけど、角を捨てるために香を消去しておくところが伏線になってて。
表現が古典的で自分も好きです。
序の伏線の部分はよくできてますよね。
本人はあまり気に入ってないと詰工房で言ってましたけどね。


2022年12月 中丸哲

普通に進めると49飛に47桂合で逃れるので、あらかじめ68角、同龍の2手を入れて48歩合を引き出したいが、初形のままでは77香が邪魔で角を引けないので序盤に色々やって香を動かしておく。

いのてつさん詰工房行ってるんですか。
いのてつさんは常連ですよ。
最近のメンバーだとかいりゅーさんとか気になってます。
かいりゅーさんは芹田さんのお気に入りです。
よく絡んでますよね。
2人でよく三次会に行ってますね。

大崎さんは詰工房来ないんですか。
自分にとって詰工房は居酒屋で誰の横に座るか勝負なところあります。
最近は人も少ないから勝負もないですよ。
6月行きますか。
詰将棋について喋るなら、この会で十分でした。
話してみるとネタは思いつくもんですね。
やっぱり詰将棋用語カード作ろうかな。
違う創作意欲が湧いてますね。作ってゲームマーケットで売りましょう。
今日やらなかったけど符号も使いたかったんですよ。45とか29とか。
今日のテーマが難しいんですよ。駒種や符号と組み合わせるならもうちょい簡単なやつがいいです。
誰も言わなかった詰将棋用語集から選んでるから馬屋原さんのせいですね。
あれは名前が面白い用語を選んでるらしいですよ。
セルフピンとかバッテリーとか簡単なのも載ってたんでそれが出たらよかったんですけど。
最初が最小公倍数だったんできつかったですね。
駒種はブルータスとかならいけるんですけど。
かえって漠然としたネタが出たから良かった面もあるかも。
意外とテーマだけでも話せましたね。
これサイコロでもカードでもいいから詰工房の2次会もっていったら盛り上がりそう。
すべらない話みたいな感じで。カード引いた人が小ネタを出すとか。
詰まらない話?
いいですね。詰まらない話カードつくりましょう。
詰将棋用語集ってたまに誰かが作るけどまとまりきらず終わっちゃいますよね。
そうですね。ウィキとかあったけど。
鈴川さんに発注したらおしゃれなカードにしてくれるのかな。

また第2回やりましょう。
これあんまり一般向けではないですね。一般向けに説明しようとするとめんどくさいので、配信とかではなくて身内でやるのがよさそう。
あいばさんが解説しながら編集してくれたら普通の人も見れるかもしれません。
マイナビでやってもらいましょう。

名誉の味がする

1989年11月 行き詰まり「無への疾走」

「下段の香に力あり」の格言に従えば、初手は89香の一手だ。75玉と逃げる手に84銀と打ち捨て、これを同銀なら87銀まで詰むが、取らずに74玉とかわされると67銀には64玉、87銀には84玉で詰まない。

もう結論はバレてそうな気もするが気にせず続けると、次に考えたい初手は87香の短打だ。これなら75玉、84銀、74玉には89銀と香筋を遮らずに王手できるので詰む。ところが今度は84銀を平凡に同銀と取られて詰まない。

84銀に74玉は89銀まで、同銀は87銀までで詰ませたい。どうすればよいか。ここまで来たら簡単な話で、初手88香が正解である。

この構造、どこかで見た気がするだろう。お手元の誰も言わなかった詰将棋用語集の49ページを開いていただきたい。名誉手筋によく似ている。

「誰言わ」の定義には「利きを通すか閉じるか選択する」とあり、行き詰まり作の87銀は香筋を閉じるための手ではないので名誉手筋にはあたらないことになる。名誉手筋ではないが、30年も前に名誉手筋のような態度保留の一手を5手詰で実現したことを称えて、行き詰まり作には名誉名誉手筋の称号を贈りたい。

思わずスクショした対局2020

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取歩駒の利きを巡る攻防。

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両対局者、後手玉に詰みありと読んでいたが手順中32金合のところ飛合で詰まなかった。

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83飛打!

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記録係はこの局面が寄らないと見ていたんだけど

実は32龍、同玉に41角があって詰んでいたという話。41角はまさに手筋物。

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28銀に同銀は26銀以下詰み。同玉は手元の非力なパソコンでの短時間検討では詰みを見つけられなかった。

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退路封鎖による打歩詰誘致に対して

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先打突歩詰で対抗。

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69角に89玉と逃げて頓死。たしかに腹金は見えづらい。

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打歩詰の局面だけど26角、同玉、36金で詰み。

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後手玉は52馬、同玉、32飛に42香の捨合で不詰。

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打歩詰の局面だけど23龍、同銀、17桂、16玉、27角、15玉、25桂、同玉、16角、15玉、43角成で詰み。

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32桂成、同玉、44桂と桂馬を打ち替えて22玉に25飛以下詰み。

詰パラ2020年11月号は出色の出来だった

結果稿に良い作品が目白押しだった。ここ数年で最高。初めて詰パラを読む人にお勧めしたい号だ。

2020年11月結果稿 小10 藤原俊雅

14角、25銀、36銀、同銀、45龍、同龍、57金まで7手

中合を動かす場合、普通に作ると合駒、玉の移動、合駒の移動で受方に3手かかるため、最短でも7手詰になる。

藤原作も7手で中合を動かしているが、この作品は7手中合動かしの文脈とはまた違った鑑賞が必要だ。

というのも、玉の移動を省略するテクニックを用いると5手でも中合を動かせることが知られており、実際この藤原作の中合移動も5手でまとめられるからだ。

下谷曲希

58馬、36銀、25銀、同銀、34飛まで5手

構図は違うが角と飛の交点に銀の中合が発生して、それが直後に動くという手順はよく似ている。5手でできることをわざわざ7手かけてやるというのは、作り方によっては蛇足や冗長、焼き直しのそしりをまぬがれないが、しかし藤原作はそういった疑問を感じさせないほど完成度が高い。

追加された2手で龍を捨てるのもさることながら、初手14角も57金を狙った捨て駒になっているし、下谷作が斜め後ろに利く駒として銀合に限定させているのに対して、藤原作は斜め前に効かせているため金合の変化が新たに生まれており、この変化も取って57金打までで詰むようになっている。

変化処理が57金に統一されることで余計な駒が増えず、すっきりとした構図のなかで5手中合動かし+2手が成立している。7手詰ではあるが、5手中合動かしの決定版といってもよいだろう。

超長編の許される変長と余詰

あらかじめ断っておくが、人の作品を不完全だとかキズ物だとかあげつらいたいわけではなく、最近知ったこと気付いたことを記載しているだけである。


今月、パラの順位戦で変長作が入選取消になり、ちょっとした論争になっているが、変長の話になると必ず思い出す作品がある。(作者はそんな思い出され方はされたくないだろうけど)

2010年7月 井上徹也 シンメトリー

収束直前、495手目に88飛と打ったところ。

作意は95玉、96歩、同玉、97馬、同玉、99香までだが、87飛合とするとどうやっても2手長1駒余りの変化長手数になる。変長作でありながら本作はこの年の看寿賞を受賞した。(重ね重ね言うが、看寿賞受賞を非難したいわけではない)

変長がどれほどのキズなのか、いっそ現代では不完全の扱いにしてしまってもいいのかについては議論の分かれるところではあるが、余詰が不完全というのは誰しも認めるところだろう。ところが超長編の世界では余詰も許されているケースがある。

2006年10月 田島秀男

286手目13玉としたところ。

作意は23歩成、同玉、24馬までだけど、ここで12成香と取っても詰む。

1999年8月 橋本考治 アルカナ

634手目98玉としたところ。

作意は99香、同玉、88銀、98玉、99金までだけど、99香と99金を入れ替えても詰む。(これは余詰ではなく、あくまで手順前後や非限定のキズだと見る人もいるかもしれない)

超長編では終わり5手くらいの余詰は許されているようだ。(てっきり終わり3手までかと思っていたが、終わり5手で許されている作品もあった

短中編でも最終手からの余詰は許されているので、手数の長い超長編ではその範囲が拡張されるという論理は分からなくもない。

私見では超長編で収束の余詰が許されている一因は、看寿の寿611手詰が601手目から余詰があるのに完全作として扱われていることに端を発しているのではないかと思っているが、どうだろう。

ただ、田島作もアルカナも看寿賞間違いなしの作意でありながら、実際には受賞していないところを見ると、収束余詰は完全作として発表はできても看寿賞では避けられてしまうようだ。(聞いた話では、アルカナは修正再出題が影響したらしいが、当時のパラが手元になくて不明)