ところが相馬さんの作品にはさらに1年前に元ネタがある。
2012年3月 解答選手権 上田吉一氏 若島正氏 合作
47龍、同と、31角成、同玉、52歩成、86桂、同馬、75桂、 同馬、64桂、同馬、53桂、23桂、同金、32金、同玉、 54馬、43桂、23歩成、同玉、35桂、同桂、15桂、34玉、 44金、25玉、36馬、15玉、26馬、 まで29手詰
桂以外は渡せない玉方が桂を接して合駒していく作品だ。
玉方が桂を持っていると、接して合駒せずとも、あとで桂合をすればいいので連続合が成立しない。
そこでこの作品では桂が全て盤上に置かれている。
(この、後ではできない合駒を前もってやっておくという考え方は、どうやら高木手筋や最近の青木裕一さんの一連の作品とも繋がる現代詰将棋の1テーマらしい)
井上作が元にしたのは、さすがにこちらの作品ではないだろうか。 なぜなら相馬作にあった歩香や桂香を重ねる合駒の変化は、上田若島合作にも見出すことができるからだ。
上田若島作に同じ変化があるのに、相馬さんが自作の方を井上作の土台と言っているのは少し不思議である。 (上田若島作も相馬作も、この香は取って詰む。これを取れないのが井上作。私に何か錯覚があればごめんなさい)
別の話
ところで、移動合をオーロラで打合に変えるという手法は下記の作品にも使える。
2014年3月 大学 武島宏明氏作
23歩成、同金、14香、13香、同香成、同玉、14香、同金、 22角、12玉、11角成、同玉、18飛、77桂成、同馬、55桂、 同馬、33桂、22銀、12玉、24桂、22玉、32桂成、13玉、 23香成、同玉、33馬、13玉、25桂、同金、15飛、同金、 25桂、同金、14歩、12玉、22馬、 まで37手詰
打合にしたからって、この作品より良くなるとは思わないけど。
さらに別の話
看寿賞の選考で柳田さんが井上作の初手が開き王手であることを評価していた。
しかし連続合の幕開けは舞台装置を動かして開き王手するのが手っ取り早いと個人的には感じている。
事実、上田若島作も開き王手で連合が始まる。
ただ、全国大会の解説では柳田さんも「飛車による3段目の開き王手は余詰みやすい」という言い方をしていたので、開き王手ならなんでもよいという話ではないのかもしれない。