えび研の話題から1作紹介したい。
大橋健司氏作 平成3年度看寿賞中編賞「迷宮の王」
26龍、55玉、46馬、66玉、57馬、55玉、67桂、同と、 46馬、66玉、47馬、55玉、46馬、66玉、57馬、55玉、 66龍、45玉、36龍、44玉、45歩、55玉、46馬、66玉、 47馬、55玉、44銀、同と、46馬、66玉、57馬、55玉、 66龍、45玉、36龍、55玉、46馬、66玉、45馬、 まで39手詰
手順の解説は借り猫さんのブログが詳しい。
端折って書いてしまえば、66玉に対して46馬を45馬と開けば詰む形なので攻方は45香消去を目指すが、 そのためには44銀捨てで44を塞ぐ必要があり、さらに44銀を打つ足がかりに事前に45に龍を利かせる必要があって、 龍を1路近づけるのには1歩が必要なので、まずは67桂捨てで67を塞いで47歩を取ることから始まる。といった感じ。
45の邪魔駒を消すために(44銀を打つために)45に歩を打つという手順構成が面白いが、初形で置いてある45香。 これは歩ではいけないのか、というのがひとつめの話題だ。
手元の柿木で調べた限りでは45歩にしても作意成立。ありえるとしたら何かの変化が変同になっているとかだが、ちょっと思いつかない。 45はなぜ香なのだろう。
ふたつめの話題は序の6手。これは必要なのか。
68に置ける馬をわざわざ79に離したり、取られるだけの55香を置いたりしているので、頭の2手は変化増やしの逆算と予想する(まさか初手48桂、同歩成の紛れで47歩に働きをもたせたわけではないだろう)が、 しかし28龍を26龍とする手はテーマにまったく関係なく、詰め上がりまで一貫したテーマを持つ本作には、およそ似つかわしい逆算とは思えない。 36龍といけるところを、26龍とそっぽに行くくらいの手でない限り、頭の2手は削除したい(ついでに馬も近づけたい)。
と私は思うのである。