7手コンと言えば、個人的に忘れられない作品がある。
1999年12月 三谷郁夫氏作 短コン1位
67角、34桂左、22桂成、13玉、68角、同龍、93龍、 まで7手詰
私が詰パラを初めて買ったのが1999年。その年末に出題され、たった7手なのにまったく解けなかった作品だ。 よく似た構図からの遠角は図巧にあり、当時の自分もそれは知っていたはずなのに解けなかった。
図巧8番
43歩、同玉、33金、同歩、52銀、同馬、32桂成、44桂、 同金、同角、同と、32玉、87角、同龍、43金、同馬、 同と、22玉、34桂、同歩、77角、同龍、92飛成、32角、 同と、同金、同龍、同玉、23金、31玉、22角、21玉、 12金、32玉、33香、同桂、23桂成、同玉、13角成、32玉、 22馬、 まで41手詰
13手目に遠角を放ち
その8手後、再び遠角。捨てた角が収束で合駒として戻ってくるのも上手い。
あるいは近代将棋図式精選でOT・松田作も見ていたかもしれない。
1969年10月 OT・松田氏作
86金、94玉、58角、同龍、85金、93玉、57角、66角、 94歩、92玉、22飛成、同角、93角成、81玉、82馬、 まで15手詰
しかしこれらの作品は初めの遠角が玉方飛車の利きを遮る位置に打たれている。 当時の自分はその感覚で三谷作でも78角を読んでしまい、詰ませられなかったのだ。
縦にも横にも何もないところに打つ遠角
ところで利きを遮る位置に角を打った場合、中合の変化処理は考えなくてよい。
OT・松田作に中合すると
角が飛車利きを遮っているので、85金から、99飛で簡単に詰んでしまう。 ところが三谷作では利きを遮らないので、中合について考える必要がある。
三谷作に中合すると
これがまあ作図の上手いところで、22桂成以下作意同様で桂余りなのだ。2手目は取られる桂を逃がすのが最善手というわけ。
この仕組み「この詰2010」の「超短編における中合対策の研究」でも取り上げられているかと思い確認してみたが載っていなかった。
同じく利きを遮らずに遠角を放ち、あえて中合させる方を作意にした作品がTETSUさんにある。 といっても三谷作より前の作品なのだが。
1998年11月 TETSU氏作
58角、67歩、85角、93玉、83と、同玉、47角、同飛成、 74と、93玉、99飛、 まで11手詰
これも名作。