書きかけのブログ

詰将棋について書くことがあれば書きます

詰パラ2020年11月号は出色の出来だった

結果稿に良い作品が目白押しだった。ここ数年で最高。初めて詰パラを読む人にお勧めしたい号だ。

2020年11月結果稿 小10 藤原俊雅

14角、25銀、36銀、同銀、45龍、同龍、57金まで7手

中合を動かす場合、普通に作ると合駒、玉の移動、合駒の移動で受方に3手かかるため、最短でも7手詰になる。

藤原作も7手で中合を動かしているが、この作品は7手中合動かしの文脈とはまた違った鑑賞が必要だ。

というのも、玉の移動を省略するテクニックを用いると5手でも中合を動かせることが知られており、実際この藤原作の中合移動も5手でまとめられるからだ。

下谷曲希

58馬、36銀、25銀、同銀、34飛まで5手

構図は違うが角と飛の交点に銀の中合が発生して、それが直後に動くという手順はよく似ている。5手でできることをわざわざ7手かけてやるというのは、作り方によっては蛇足や冗長、焼き直しのそしりをまぬがれないが、しかし藤原作はそういった疑問を感じさせないほど完成度が高い。

追加された2手で龍を捨てるのもさることながら、初手14角も57金を狙った捨て駒になっているし、下谷作が斜め後ろに利く駒として銀合に限定させているのに対して、藤原作は斜め前に効かせているため金合の変化が新たに生まれており、この変化も取って57金打までで詰むようになっている。

変化処理が57金に統一されることで余計な駒が増えず、すっきりとした構図のなかで5手中合動かし+2手が成立している。7手詰ではあるが、5手中合動かしの決定版といってもよいだろう。