2013年10月 藤井聡太

改良図は5月号で見てもらうとして、で、この改良図は確かに良くなってると思うんだけど、それを詰将棋マニアじゃない人にも理解してもらうにはどうしたらいいんでしょう。
ひとつは55飛、同香を入れることによって原図では宙ぶらりんだった55香に説得力がもたされたのと、あとは駒取りが減ってますね。
発表図の飛車から合駒むしって13桂成っていう序が強引というか取ってつけた感があるんですよね。感覚論だけど。
ホリエモンが「寿司屋の修行に10年かける意味はない」って言ってたけど、いまの詰将棋界は、どんな作品がいい作品なのかって誰も教えてくれないから、何年もかけて見て覚えないといけない気もしてて、寿司学校みたいに詰将棋の専門学校を作るとしたら、そこでは何をどう教えるんでしょうね。
同じ10年でも作家10年と解答10年ではまた価値観が違いそうですね。原図の序をあまり気持ちいいと思わないのは、作るときの手癖というか、作家の感覚として楽な道を行ってる感じがするからかもしれないです。
13桂成、同玉、12とあたりはたしかにありがちな手ですね。
飛車打って合駒稼ぐのもね。まあまあまあ、入るよね、みたいな。
香合だったかもしれないけど、なにかしらの合駒は逆算で入りそうですね。
ちなみに原図、私は結構好きなんですよ。改良図の方が絶対良いかと言われたらそうでもなくて、55飛の伏線が入ってるんですけど、これがわざとらしい気もするんですよ。構図も原図の方が安定してる気がします。
そうですか?構図は改良図だな。15に玉がいるのがキモいんですよ。
いのてつさんは16の歩が浮いてるように感じるってことですか。
そう。あと、1筋で合駒を稼ぐことで、16歩の必然性が出てる。
いい視点ですね。
とはいえ2択どっちと言われたらさすがに改良図かもしれないけどね。
玉を呼んでくる序があまり好きじゃないんですよ。15にもう1回行くんで原図もいい作品だと当時から思いましたけど。
あと原図は初手に対して14角の変化があるんですよ。解いたときにそれで悩んだ記憶があって、それで原図もありかなと思いますね。
角合はどう詰むんですか?
たしか13桂成、同玉に46角と打つんだったかな。結構悩むくない?
46角に桂合がどうかなという話?
そうですね。桂合は……詰まないですね。あ、分かった。13桂成、同玉に12龍でした。結構いい変化じゃないですか?
たしかに。でもやっぱり感覚的に好きじゃないんですよね。手順の構成として。なんなんでしょうね。好みの話な気もするけど、作者も感覚的に嫌だったんでしょうね。
推敲を老後ではなく今やるところに作者の熱意を感じさせますね。詰将棋専門学校ができたときは名誉学校長に就任してほしいです。