創作技術の向上によって、あぶり出しに合駒が入ることは珍しくなくなった。むしろ最近では入っていて当然のような風潮さえ感じられる。合駒入りあぶり出しのコモディティ化。そこで私がお勧めしたいのはあぶり出しに中合を入れることだ。中合が入ったあぶり出しはいまだ希少で、名作になる確率が高い。(と勝手に思っている)
中合入りのあぶり出しで真っ先に思い出すのはやはりこの作品。
1981年7月 若島正

54金、62玉、63金、同玉、43香成、45桂、同角、64玉、 55金、同玉、67桂、64玉、63角成、同玉、55桂、64玉、 44飛、54桂、同飛、同玉、45金、64玉、56桂、同金、 54金、同玉、65馬、まで27手。

6手目45桂!しかも18手目に普通合のおまけ付きだ。どちらの合駒も前に利く駒だと65に打てて早いという意味付けで桂合に限定させている。この狭い中で2枚合駒を出しているのもすごいし、途中の金を桂に打ち替えて角を捨ててから桂を跳ね出す細かい駒繰りの手順もすごい。イの字の決定版と言われているが、全あぶり出しの中でもかなり上位の作品ではないだろうか。なにせ中合が入ってるから。
2025年5月 仲村勇之助

65金、同香、66桂、同香、65金、同玉、83角成、54玉、 94龍、64角、同龍、同桂、43銀不成、同玉、52飛成、34玉、 43角、35玉、32龍、33桂、同龍、46玉、47金、55玉、 65馬、同桂、54角成、同玉、46桂、55玉、53龍、まで31手。

今年の看寿賞受賞作。この作品最大の見どころはもちろん枠の外に追い出す43銀生からの52飛成!

だけど、ここでは20手目33桂に注目したい。

ぐるっと回って47金、55玉で、このとき前に利く駒を持っていると56に打てて早い。

したがってこの持駒の桂は合駒で出せるはずだ。ということに気付き、実際に33桂中合を出してみせた作者。ここの創作過程は案外数分のものだったのかもしれない。52飛成から逆算で中央に戻して、64角移動合のおまけ付き。創作時間の大半は前半かな。
詰パラ7月号の作者の受賞のことばで触れられている作品も見ておこう。
1959年1月 北原善治

46馬、34玉、25銀、同玉、36龍、34玉、43桂成、同玉、 54銀、同玉、64馬、43玉、42馬、54玉、64金、55玉、 47桂、同馬、54金、同玉、84龍、74金、同龍、同馬、 64金、55玉、65金、同馬、64馬、同馬、56龍、まで31手。

1992年6月 林雄一

45香、同桂、54金、同龍、53金、同玉、33飛成、43馬、 54香、同玉、66桂、同香、46桂、同と、64飛、55玉、 44龍、同馬、65馬、まで19手。

どちらの作品にも移動合が入っている。中村作の序盤で角の移動合が出るのは、これらの作品へのオマージュだったのだろうか。
最後に私が作った中合入りのあぶり出しをお見せして終わりにしよう。若島作、中村作とは比べるまでもないが、みなさまもぜひ中合入りのあぶり出し、手掛けてみてください。
2025年10月 自作

57飛、56桂、同飛、45玉、55飛、同玉、65歩、同玉、 76馬左、55玉、47桂、同香成、44銀引不成、まで13手。


























