書きかけのブログ

詰将棋について書くことがあれば書きます

思わずスクショした対局2018

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2018と言いながらいきなり2017年のJT杯深浦豊島戦。74歩では打歩詰となるところ、73歩と控えて打ったのが、あとから突けば禁手にならないという先打突歩詰の手筋。

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劣勢の先手が33成桂と桂馬を取った局面。本譜は62玉と早逃げして後手が勝ちきったが、画像のコメントにもある通り59飛生で詰んでいた。

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16歩、同玉に27銀と放り込んだのが最後のお願い。同玉なら詰まないようだが、先手がこれを同金と取ってしまい、以下18飛成、17合、27龍からの詰みで後手勝ち。

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一手勝ち模様の後手が詰めろで打った55桂が実は悪手。52と、33玉に24銀の強手で詰んでしまった。同歩と取るしかないが23金、同金、32金、同玉、42飛、33玉、44銀となって、これを同角で取れないのが55桂の罪。

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詰ませば後手勝ち。作意は64飛、同馬、83歩、75玉、65金、同馬のスイッチバック。以下は74銀から収束。

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打歩詰の局面。打開の一手は73馬捨てで、同桂に52歩が打てるようになっている。狙いとしてはやや地味か。

良いお年を。

ミクロコスモスの1筋の折り返し

とり研に参加した際に「ミクロコスモスは1筋の折り返しがすごいですよね」という話をしたら、久保さんらに「長編を作らないので、そこに着目したことがない」と言われてしまった。自分も長編作家のつもりはないけど、しかしミクロコスモスの1筋の折り返しはすごいのだ。

1986年6月 橋本孝治氏作 ミクロコスモス

普通、と金知恵の輪で折り返そうと思ったら

24と、35玉

とするか

12と、23玉

とするかだろう。つまり16桂とか11王とか、端のと金を取られないために利かす駒を、往復する領域のさらに外に置くのが普通だ。ところがミクロコスモスはこう。

11成香、22玉

なぜ11成香が取れないのか。

430手目45と

24桂、同歩、89馬、45ととした局面だ。作意はここから11成香、22玉と進むが、11成香を取ったらどうなるだろう。

11成香、同玉、13龍、12合

21と、同玉、23香、11玉、22香成で詰みだ。12金合が無い、23が空いている、13で香を拾えるという条件のもと、うまく変化処理されている。 しかも13で香を拾えるという条件は、それがそのまま香を13に運んでくる意味付けにもなっているのだ。効率がいい。

ところが1筋で折り返すのはこの局面だけではない。

124手目13歩合

先ほどの局面は14龍が24に移っていくところだったが、今回は逆に24龍が14に移ってきた局面である。24桂捨てが入ってない状態でも折り返さないといけないのだ。11成香を取ったらどうするのか。

11成香、同玉、13龍、12香合、同龍、同玉、25桂

18金、14香、22玉、13桂成、11玉、12成桂まで。

17桂と18香のバッテリーが控えていたのだ。この2枚は最後25桂、同銀、14香、同銀で収束に入るためにも使われており、こちらもやはり効率がいい。

当たり前だが、24桂捨てが入っている局面では、この手順では詰まないようになっている。(じゃないと13に香を運ぶ意味付けが成立しない)

よくもまあこんな隅の隅で、利きもなしにと金知恵の輪を折り返そうと思ったものである。脱帽。

成らせない連合

だいぶ前に書いて放っておいたのを、このままでは出すタイミングが無くなりそうなので、公開しておく。1年前の看寿賞のときの話だ。

馬屋原さんの二飛連合が成らせないための連続合駒ではないかという指摘が相馬さんからあった。 指摘自体はその後撤回されたのだが、たしかに同じ系譜にあるかもしれないと思ったのでここで改めて広瀬さんの成らせない連合一号局を見てみよう。

2015年3月 広瀬稔氏作

23と、84銀、同飛、74銀、同飛、64銀、同飛、54銀、
同飛、同桂、13と、同玉、24銀、同香、12角成、14玉、
23銀、同と、同馬、同玉、34銀、32玉、33銀成、41玉、
51歩成、同玉、73馬、62銀、42銀打、同金、同成銀、同玉、
64馬、53銀、43歩、51玉、52歩、62玉、73金、52玉、
63金、41玉、42歩成、同銀、同馬、同玉、53銀、41玉、
52金、
まで49手詰

2手目、普通にしたら54歩合だろう。

しかしこれでは13と、同玉、93飛成と1回成るのが好手で、以下、43歩合、12角成、14玉、15馬、同玉、16香、26玉、96龍から詰む。

そこで2手目は84銀合。

これなら13と、同玉に93飛成とすることができない。仕方なく12角成、14玉、15馬、同玉、16香、26玉、96飛と進めてみるが、ここで96が生飛車なので詰まなくなっている。

そこで84銀合は素直に同飛と取る。3段目で飛車を成って、6段目に引く手が常にあるため、玉方は必ず飛車に接して銀を合駒しなければならない。

以下、同飛、64銀合、同飛、54銀合と四連続で銀合を放ち、同飛、同桂から収束である。

これが成らせない連合。では次に馬屋原さんの作品を見てみよう。

2015年11月 馬屋原剛氏作

93角、84飛、同角成、75飛、同馬、46玉、55銀、同玉、
54飛、同玉、44飛、63玉、64馬、62玉、73銀、71玉、
82銀不成、62玉、73馬、53玉、45桂、同角、64馬、62玉、
73銀不成、71玉、41飛成、61桂、同龍、同玉、62歩、71玉、
83桂、81玉、82銀成、
まで35手詰

2手目に66桂合や84歩合とすると、58歩、46玉、82角成とされ、この期に及んで72角が取られたくないと73金合しても

55銀打、36玉、72馬、同金、45角で詰んでしまう(まあ、73金合は取っても詰むけど)

82に馬を作られると、72角を取る筋を防ぐことができなくなるのだ。そこでそもそも82に馬を作らせないことが大事になってくる。2手目84飛合がそれだ。

これなら82角成とできない。しかしこの飛合、普通に同角成と取ると今度は73角成から72馬の筋で角が取れてしまう。そこで玉方の抵抗は続けざまに75飛合。

これで72角を取られずに済む。以下収束。

82や73に角の成駒が発生すると72角を取られてしまうので、成らせない連合のようでもある。しかしそもそも73は馬でいくし、初手が93馬でも作意は成立するはずだ。そこで本作は成らせないための連続合駒ではない。では何か。実はただの「駒を取らせないための連続合駒」なのだ。そしてこれがどうやら新構想らしい。言われてみると単純な話なのだが、シンプル過ぎて逆に誰も気付いてこなかった意味付けかもしれない。

玉の他にも取られてはいけない駒(72角)があるという点で、この意味付けには二玉詰のような雰囲気がある。連続合駒と二玉詰は相性がいいのだ。きっと。前もそんなことを考えていた。

幻の看寿賞のまぼろし

41角成、同飛、33銀成、同桂、29香、27桂、同香、14玉、
26桂、23玉、22飛、同玉、34桂、32玉、22香成、
まで15手詰

えび研で鈴川さんにこの作品を見せられたとき、これは看寿賞だと思った。おそらくその場に居合わせた人全員が同じ感想を抱いていたと思う。いずれ鈴川さんはこの作品でA級順位戦を優勝し、その年の看寿賞短編賞を取る。そう思っていた。

ところが発表された図は違うものだった。

2016年8月 短10 鈴川優希氏作

61角、52金打、53金、32玉、42金、同金、22金、同玉、
14桂、23玉、29香、27桂、同香、14玉、26桂、23玉、
22飛、同玉、34桂、32玉、22香成、41玉、42桂成、同玉、
43角成、同玉、53金、
まで27手詰

去年の看寿賞はまだ決まっていないので、まだどうなるか分からないけど、個人的な意見を述べさせてもらえれば、これは看寿賞ではない。元の図も鈴川さんがブログのコメント欄で発表しているので、そこから看寿賞に選ばれる可能性もゼロではないが、しかし現実的に考えれば、この「推敲」によって、鈴川さんは看寿賞をひとつ取り逃したと言ってしまってよいだろう。

ところが、である。

先日、馬屋原さんにある作品を見せてもらった。

2002年4月 高17 塚本惠一氏作

23角成、同玉、29香、27桂、同香、14玉、26桂、13玉、
14飛、23玉、22銀成、同玉、34桂、32玉、22香成、
まで15手詰

もちろん、詰め上がりに飛車が残らない鈴川図が優るが、この作品があってはどのみち(先行例に厳しい)看寿賞は受賞できなかっただろう。 変に賞を狙わず、自分が納得いくまで推敲した図で発表した鈴川さんの行動は正しかったのかもしれない。

詰将棋は電気羊がどうたらこうたら

1月号でeurekaの作品を5題並べたデパート担当としてあらかじめ宣言しておくと、あれはただの悪ふざけで特に深い意味は無い。

詰将棋パラダイスはそういった悪ふざけに寛容な雑誌であると思っているし、実際に原稿を送ったときも編集部から難色を示されていない。もちろん締め切りギリギリに原稿を送ったことが原因かもしれないが。

自動創作である。

大量の図面を片っ端から柿木将棋に解かせることを、はたして自動創作と呼んでいいのかは分からない。けれどこの騒動を見ているうちに、自分はトヨタの自動運転についてのニュースを思い出していた。

Prattによると、SAEの“Level 5”に相当する完全な自動運転は、“実現が近いとは到底言えない”。

詰将棋の完全な自動創作も、実現が近いとは到底思えない。

ただ、実現が遠くても、それを脅威に感じることは理解できる。自動運転の場合はタクシーやトラックの運転手が反対したりするわけだけど、それはそれで意味があって、もしかしたらお上が規制して自分たちを守ってくれるかもしれないからだ。

でも詰将棋にはそれがない。だから自動創作反対を訴えたって仕方のないことだと思う。

図巧を読み解く 第四番

35金、同金、46桂打、44玉、35角、同玉

ここまでは序。

ここから24角!と初形にいた角を再び打つのが筋の一手。34金があるので同香とは取れないが、残念ながらいまは同飛で後続手段が無い。そこで遠回りする。

17角

これも取ると34金があるので取れない。やむなく捨て合いするが

26歩、同角、24玉、15角、35玉

となり、ここで改めて24角!とすると、さっきの局面から1歩増えている計算。

24角、同飛

1歩増えたからなんだという局面だが、ここで続けざまに25龍!がこれも同飛と取れないことを見越した手。同玉と取らせれば26金と上から抑えつけられる。以下収束。

25龍、同玉、26金、14玉、15歩、13玉、22銀不成、12玉、
11銀成、13玉、14香、同飛、同歩、同玉、15飛、24玉、
25金、33玉、34金、32玉、12飛成、41玉、31と、同銀、
52龍迄39手。

24角、25龍と捨てる手は派手だが言ってしまえばただの焦点捨て。17角から1歩稼ぐのは構想というほどでもない。26桂合を防ぐために4桂配置してまで?という気もする。

図巧を読み解く 第三番

図巧を並べたのは詰将棋を始めた初期の初期で、当時はわけもわからず見ていた。いま改めて鑑賞してみようと思った。

第三番から始めたのは一番と二番が有名すぎるからだ。第三番は現代的に言えば広義の打診、不成強制といったところか。

77銀、95玉、96金、94玉

ここで95歩は打歩詰。かといって85金では同飛成で龍が強く全く詰まない。そこで86桂と打つ。

これを同飛成では打歩詰が打開されて95歩で早い。やむなく同飛生と取るが、それから85金とすれば龍ではなく生飛を残すことに成功し、以下収束である。

同飛不成、85金、同飛、
95歩、同玉、96歩、94玉、86桂、同飛、95歩、同玉、
86銀、同玉、83飛、76玉、85飛成、66玉、55龍、同玉、
56馬、64玉、65馬、73玉、83角成、63玉、74馬上、54玉、
65馬、63玉、74馬引、72玉、73歩、61玉、43馬、同歩、
51と、同玉、41馬、同玉、42金迄45手。

収束は現代の感覚すれば冗長。しかし途中55龍や

54歩の原形消去から43馬、41馬と切れ味鋭く仕上げてある。

打歩詰局面から桂捨て、同飛生というのは、いまやよく見る筋だが、短手数でまとめないところがさすが献上図式といったところだろうか。