書きかけのブログ

詰将棋について書くことがあれば書きます

第2回 詰将棋サイコロトーク 岩村凛太朗は細マッチョ編

サイコロトークで集まったけど、せっかくなんで看寿賞について喋りますか。


2022年7月 相馬慎一

馬方作の方が新しい気がします。


2022年5月 馬方四季

合駒を2枚出して動かすのは太刀岡さんの裏短コンに前例がありますが、馬方作は初形がきれいなのと、変化と紛れで桂馬の跳ね違いがあったりで手順に厚みがあります。
相馬作は手順が派手だけどスイッチバックなんですよね。馬方作は大げさにいうとエポックメイキングです。
自分も双玉より単玉を評価したくなります。
相馬作はロジックを紐解けば、そんなに不思議な手順ではないんですよ。
25龍、16玉の仕組みを誰も見つけてないので、ある程度の発想力は必要かと。
みんながこれを目指していればそうだけど。動くと逆王手っていうのは他でも活用されている形なので、そこまで感動しなかったですね。両作受賞でもいいけど、馬方作が上かと思いました。
検索しても太刀岡作が見つけられないです。
それは私が結果稿を上げてないせいですね。
え、じゃあ裏短コンは匿名出題だから太刀岡作かどうかも本当は分かってないってこと?
動画配信で発表はしました。
もしかしてちゃんと結果稿あげてたら前例ありで受賞しなかったとかないですか?
その場合は私のおかげで受賞したみたいなもんですね。
そこは選考の中でちゃんと議論されているので、結果稿の有無は関係ないかと。
看寿賞は前例に厳しいイメージがあったけど今回はセーフだったんですね。まあでもちゃんと見ると太刀岡作は香合香合で打歩詰も絡まないから差はあるか。
合駒制限と双玉も使ってますからね。


2019年11月 太刀岡甫「ボンバーマン

89龍、83香、65角、56香打、47桂、89香成、59龍、同香成、55桂。

相馬さんと馬方さんが同一人物なのってパブリックなんですか?
受賞コメントも別々でやってますね。でも相馬さんのTwitterでは馬方作を自作として紹介してるので、公にはなってると思います。
馬方作は歴史に残りますね。シフマンの話をするときに必ず出てきます。3票しかないのはびっくりしました。他に強い対抗がいるなら別だけど。
他だと鈴川さんの作品とか。


2022年1月 鈴川優希

8筋9筋で小さく角の開き王手を繰り返し、最後に59角とダイナミックに引いて詰み。

これは好きです。受賞してても文句ないです。
あとは斎藤さんの。


2022年4月 齋藤光寿

27桂、24玉で15桂と飛車が取れるところ35金、同飛と逃してから15桂と跳ねる。同じことをもう一度やる。

これもいいですね。好み次第では馬方作よりこっちかもしれないです。駒数は少ないとはいわないけど個人的には妥当な駒数に見えます。
89角は67角にも置けそうという話がありましたけど、構図的に89の方がよくないですか?
自分は67に置けるなら67に置きます。
67の方が小さい意味合いはあるけど、89の方が幾何学的にはきれいですよ。
きれい?
89の方は直角三角形なんですよ。67はいびつな三角形で。ぱっと見たときの印象ですけど。
うーん?これは作者に聞きたいなあ。なんで89に置いたのか。
あまり気にしてないと思いますけどね。
気にしてなかったらコンパクトに67に置くと思うんですよね。詰パラって6筋に収めると図がちょっと小さくなるんで、6筋に収まるなら収めたくなります。
私は勝手に6筋表示にしないでって思ってます。9x9のデザインで作ってるので。


2022年4月 岩村凛太朗

初手87王に88桂成、同角、77桂成、同角、66桂と受方が3枚の桂を跳ねる。作意後半で攻方も同じように3枚の桂を跳ねる。

テーマは置いておいてもテイストが新しいですね。狙うところそこなんだみたいな。みんなが見てるところと違うところを見てる感じがします。やろうとすると相当難しいけどきれいに作ってありますね。
最初の桂捨てはよくあるけど、これを先手にもやらせようと思うのがすごいですね。
繋ぐ手順構成をうまく作りましたね。
受賞の言葉の半沢直樹ってどういうことですか?
桂馬の三段跳びの倍返しってことですかね。
ちょっと論理の飛躍がありますよ。
そこが天才のゆえんですね。

こっちの作品の受賞の言葉では「いないいないばあ装置」という謎のワードが出てきます。


2022年9月 岩村凛太朗 攻野に並ぶ七人

33歩成、同成桂が21の角による逆王手で、そこで43歩と打つ手は攻方の合駒とみなせる。以下、歩から飛まですべての駒を順番に攻方が合駒で打つ。攻方七種合。

攻方七種合はいつもなんのこっちゃと思ってるんですけど、この作品は見れます。
条件達成しただけだとだからなんなんだですけど、この作品はいないいないばあ装置が詰将棋として面白くないですか。
ここがないとただ流れで出しましたになっちゃいますからね。
七條さんや駒場さんの作り方とは違いますね。
私は、岩村凛太朗は現代に蘇ったスマートな駒場和男だと思ってます。テーマの選び方が駒場和男っぽいんですよ。ロジカルじゃないところにテーマを見出しに行ってるところが。
選考ではトリプルジャンピングアタックは繋ぎの手順が弱いという評もありました。
弱いんだけど、あれで繋がるなら山田修司の59香ばりの上手さだと思いますね。これだけ自然に繋がれば上出来でしょう。
スマートだけど剛腕でもありますよね。繋げていくのは。
剛腕なんだけど力こぶ見せてないんですよ
駒場和男は?
ばりばりに力こぶ見えてますよ。だから岩村さんは細マッチョで駒場さんはゴリマッチョです。


2022年7月 山葉桂

この作品は初めに見たときに看寿賞だなと思ったのを思い出しました。だって七種中合ですよ。
私は最初の仕組みで最後の飛車まで出してほしかったです。いないいないばあ装置だけで七種合は無理そうだけど、山葉作は惜しいので、惜しいがゆえに思ってしまいました。最後の飛車もここで出ないかなって。

中編はどれも受賞級だけど3作受賞は意外でした。どれか外れるかなと思ってました。
會場さんが3作投票したので會場さんのおかげといっても過言ではないです。

長くなったので続きは別の記事にします。