書きかけのブログ

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ミクロコスモスの1筋の折り返し

とり研に参加した際に「ミクロコスモスは1筋の折り返しがすごいですよね」という話をしたら、久保さんらに「長編を作らないので、そこに着目したことがない」と言われてしまった。自分も長編作家のつもりはないけど、しかしミクロコスモスの1筋の折り返しはすごいのだ。

1986年6月 橋本孝治氏作 ミクロコスモス

普通、と金知恵の輪で折り返そうと思ったら

24と、35玉

とするか

12と、23玉

とするかだろう。つまり16桂とか11王とか、端のと金を取られないために利かす駒を、往復する領域のさらに外に置くのが普通だ。ところがミクロコスモスはこう。

11成香、22玉

なぜ11成香が取れないのか。

430手目45と

24桂、同歩、89馬、45ととした局面だ。作意はここから11成香、22玉と進むが、11成香を取ったらどうなるだろう。

11成香、同玉、13龍、12合

21と、同玉、23香、11玉、22香成で詰みだ。12金合が無い、23が空いている、13で香を拾えるという条件のもと、うまく変化処理されている。 しかも13で香を拾えるという条件は、それがそのまま香を13に運んでくる意味付けにもなっているのだ。効率がいい。

ところが1筋で折り返すのはこの局面だけではない。

124手目13歩合

先ほどの局面は14龍が24に移っていくところだったが、今回は逆に24龍が14に移ってきた局面である。24桂捨てが入ってない状態でも折り返さないといけないのだ。11成香を取ったらどうするのか。

11成香、同玉、13龍、12香合、同龍、同玉、25桂

18金、14香、22玉、13桂成、11玉、12成桂まで。

17桂と18香のバッテリーが控えていたのだ。この2枚は最後25桂、同銀、14香、同銀で収束に入るためにも使われており、こちらもやはり効率がいい。

当たり前だが、24桂捨てが入っている局面では、この手順では詰まないようになっている。(じゃないと13に香を運ぶ意味付けが成立しない)

よくもまあこんな隅の隅で、利きもなしにと金知恵の輪を折り返そうと思ったものである。脱帽。