サイコロを投げて出た目に書かれている詰将棋用語について喋るという、合コンで大盛りあがり間違いなしの企画を思いついたので、いのてつさんとくぼさんを呼んでトライアル開催してみた。カピバラアイコンがいのてつさんで、ネズミアイコンがくぼさん。詰将棋用語は「誰も言わなかった詰将棋用語集」の見出し語を使った。

最小公倍数原理

いきなり重いやつだ。

何すればいいんでしたっけ。

テーマに合う作品を語ったり、無かったら作ったり。せっかくなんで駒種のサイコロも振りましょう。

金

最小公倍数原理は何作品あるんですか?

伝統ルールだと2つです。

2作目はどういう公倍数なんでしたっけ。

右の飛車の位置と左の飛車の位置ですね。

2017年11月 中村宜幹 ヘミオラ
受方の飛車が63→73→63と往復している間、攻方の飛車は24→14→34→24と動く。73飛・24飛のときだけ収束に入れるが、飛車の動く周期がずれてるので2x3の6回同じ手順を繰り返さなければならない。

あ、これと金知恵の輪だからテーマの「最小公倍数原理+金」になってますね。

「金」と「と金」は一緒なんですか?

「と金」の目も用意してあるので別でした。

実は自分も最小公倍数原理考えてるんですよ。まだ構想段階ですけどxxxがxxxでxxxになって。

それ実現できたら面白いですね。

最小公倍数じゃなくても、3サイクルや4サイクルの趣向って珍しいんですよ。

合駒パクリながらぐるぐる回して品切れ狙うやつは?

柏川悦夫 駒と人生 第18番
86桂、95玉、74桂、94玉~82桂成、74桂合、86桂を4回繰り返して桂を品切れにする作品。

あれは循環しないので。無限に回し続けられないとだめです。

4サイクルで無限ループといえば香4枚の持駒を桂4枚に変えて、また香4枚に戻す田島さんの作品を思い出します。

あれは状態としては香4と桂4の2状態だと思ったけど、香4・香3桂1・香2桂2・香1桂3・桂4の4状態とも見ることもできますか。そういう意味では4サイクルの作品もまあまああるのかな。

この作品が特殊で、あまりないとは思います。

2005年11月 田島秀男
攻方の持駒桂4枚を香4枚に持駒変換して馬鋸を1つ動かしたら、今度は香4枚を桂4枚に持駒変換して馬鋸を1つ動かす作品。馬鋸は合計4回動くので、4枚の持駒変換も4回行われる。収束余詰。


次のテーマいきましょう。

モデルメイト

手が広いので駒種ではなく、もうひとつ
詰将棋用語を出してみますね。

不利逃避

ちょうどパラの今月号(2023年5月号)にモデルメイトの話出てましたね。

「モデルメイトは、玉周辺のマスに攻駒の利きが重複しない詰上りのこと」と書いてあります。

モデルメイト兼不利逃避なんてあります?

誰も言わなかった詰将棋用語集 P16モデルメイトの説明図

44歩を不利逃避で取らせて45歩と打ち返すとか?

フェアリールールにしてみるのはどうですか。モデルメイト以外は詰みと認めない。

ばかならやりやすそうですね。かしこでやったら不利合が簡単に出せそう。45に銀を打たせた方がモデルメイトにならないみたいな感じで。でも作るのは難しそうですね。一見無理な方に逃げてもモデルメイトじゃないからと逃げられちゃいそう。

変化もモデルメイトで詰まさないといけないんですね。

我々、フェアリーに走っちゃいましたけど、(伝統ルールの)モデルメイトも好きな人は好きですよね。逆に不利逃避の方はどうですか。

不利逃避で駒種を決めてみますか。

金

例えば44玉13金に22馬でヤケクソ不利逃避みたいな感じでどうですか。35玉、13馬、44玉、22馬、33合、同馬、同玉、13飛成。あんまり簡単にできてもつまらないけど。

どうせ取られる駒を先に取らせるのが、どんだけ不利なのかですね。

手数があけば不利感でるけど、すぐ取っちゃうとどうせ取るんじゃんってなりますね。

連取りで歩が並んでるんだけど途中の歩を序盤に不利逃避で中抜きさせておく方が長いみたいなのはどうですか。

ロジックは、連取りで歩1枚取ると攻方が2枚儲かるから連取りではないところで先に取らせておくみたいな?

あとは連取りでは歩が2枚同時に取れるので、片方はあらかじめ不利逃避で取らせておくとか。でもこれ広瀬さんの馬鋸にかなり近いな。

2010年12月 広瀬稔
初手99角に33歩は同角成、同桂、同角成から馬鋸に入り、87歩を取って戻って詰み。43・54・65・76の歩は道中取られるだけの駒なので、2手目から77歩、同角、66歩、同角、55歩、同角、44歩、同角と取らせておく方が手数が長い。

ヤケクソ以外の不利逃避の意味付けとしては退路開けとか打歩詰とかがありますね。

取歩駒の金を不利逃避で取らせても、それで攻方が金を持っちゃうからなあ。

金は打歩詰では無理ですね。一番高くて山梨富士山の角ですよ。

なんですか山梨富士山って。

え、1号局の51角取らせる作品です。

あれ山梨富士山って言うんですか。

はい。作者が。

あ、山田修司さんか。

高木手筋みたいになってて、不利逃避で金をもらえると、逆に別のところで別の駒がもらえなくて、道中金を消費させられちゃうっていうのは?

面白いとは思うけど構図が思いつかないですね。

単なる退路開けなら簡単にできそうですよ。35金15玉で24角に同玉は33銀、15玉、24飛成で詰むことにして、26玉、35角、15玉、24角、同玉、あんまり不利感ないかも。

不利逃避難しいな。

あんまり不利じゃないんだよね。

若島さんも「口が悪いやつは有利逃避と言う」って何かに書いてました。

それを言い出すと不利合も有利合ですね。

次のテーマ出しますね。これサイコロより
詰将棋用語カードの方が便利だな。

誰が買うのそれ。

酒井手筋

飛

酒井手筋のどこの役割を飛車にするんでしょう。

飛車の成生?

久保さんの角成生も酒井手筋ですか?

酒井手筋の定義があいまいっちゃあいまいなんですよ。

いつかの短コンに馬屋原さんが酒井手筋の最短手数を出してましたよね。あれは作者自ら酒井手筋と言っていた気が。

2021年12月 馬屋原剛
初手から46馬、54玉、53銀成は同飛左と43の方で取られて不詰。かといって初手66馬は53銀成に同飛右で詰まない。そこで馬の態度は保留して初手56歩とする。以下54玉、53銀成と先に受方に態度を決めてもらうのが後出しじゃんけんとも言われる酒井手筋。

この方がオリジナルの酒井作には近いと思います。自作が酒井作っぽくないのは、行って戻らないところで、どっちがプラス・マイナスというわけではなく原作とは違う雰囲気になってますね。

久保作は打診ですよね。

2014年9月 久保紀貴
23銀、同玉、14角、13玉、32角成は15角生で打歩詰、32角生は15角成で詰まない。14角を打つ前に26飛と捨てて受方の成生を先に決めさせる。26同角成には14角、13玉、32角成で、26同角生には14角、13玉、32角生で詰む。

打診の目的が相手に先に成生を決めさせることになってます。

この角対角の打診は最近どこかで見た気がするなあ。

森長さんの個展?

2023年2月 森長宏明
54金、同歩に44銀成は13角、66飛、同銀成で逃れ。44銀生は13角、66飛、同銀生で逃れ。44銀の開き王手より先に66飛として受方銀の成生を決めさせておく。

ほんとだ。銀対銀になってるんだ。

この作品が面白いのは飛車捨ての意味が同銀成で取ったときは取歩駒の発生で、同銀生で取ったときは55への飛車の利きの消去なんです。55への利きは44銀成と対応していて。

好きな作品だと思ってたけどそういう意味付けが隠れているのか。

これは成生に明確な大小関係がある角ではできないんですよ。いや、45角不成でできるのかな?まあでも面白い作品です。

森長さんの個展は4番も面白かったです。

2023年2月 森長宏明
初手84飛は73玉、82飛成、64玉、69龍、67桂合、62龍、63歩合で逃れる。初手から79龍、76桂合としておけば69龍、68歩合で次の62龍に63歩合が二歩禁になる。

桂合は若島さんにもあったと思うけど面白いのは禁則ルールを全部使ってるところ?

若島さんは角を逃さない意味合いじゃないですか?

若島さんじゃなかったかもしれないけど、桂合を挟むことで合駒位置を8段目に持っていく作品は見たことがあります。

それこそ森長さんの作品にありますよ。

1992年12月 森長宏明
初手53金は41玉、49飛、47桂合で逃れ。最初に59飛、56桂合の交換を入れておくと49飛に48桂合ができない。作意は48桂成、同飛と桂を捨てて47桂合を実現するが、1枚多く桂が手に入るので詰む。

(個展の作品は)桂合だけ切り出すと
禁じられた遊び手筋だけど、それをなんでやるかというと62龍のときに歩合させないためで、なんで歩合が困るかというと歩合だとそのあと75歩が打歩詰になる。連鎖してるんですね。

初手84飛だと69龍、67桂合に62龍、63歩合で逃れなのか。

あれ?67桂合だとそもそも打歩詰にならない?

78龍、76歩合で稼げますよ。

67桂合、63桂合のときは桂が品切れだけど、67桂合、63歩合のときは76桂合ができるから、そうすると打歩詰にならないですね。連鎖してるのは二歩禁までかも。

やろうとしてることは面白いのに鍵が79龍なのが残念なんです。この初手を指すための何かがないと演出としては物足りなくて。

次を最後にしますね。

成香

偶然にも。

いまでたやつだ。

禁じられた遊び手筋好きなんですよ。ほどよいマイナー感というか。将棋指してる人は打歩詰は知ってても、8段目に桂が打てないことは気にしたことないと思うんですよね。

それでいうと上田さんの17角37角が好きです。

8段目桂合不可は打歩詰級に
詰将棋のためのルールだと思ってます。

将棋のルールは桂合不可とは言ってないですからね。行きどころのない駒はだめですよと言ってるだけで。

そのルールが結果的に8段目に桂だけが打てない状況を作ったわけですね

上田さんの17角はどこから思いついたのか分からない感じが好きです。このまえシナトラくんと上
田吉一論やったんですけど、好きな作品が一致してて良かったです。短編だとこれとか。

短編だとどれですか?

51玉に24角から始まるやつ。

1978年11月 上田吉一

それをシナトラくんと2人だけで?濃いなー。

濃いなー。


大掛かりになりがちですからね。

でも最近やさしい大学院でありましたよ。割りとオーソドックスで、
禁じられた遊びが桂を捨てるところで角を捨てるんです。それ自体は長い伏線になってないんですけど、角を捨てるために香を消去しておくところが伏線になってて。

表現が古典的で自分も好きです。

序の伏線の部分はよくできてますよね。

本人はあまり気に入ってないと詰工房で言ってましたけどね。

2022年12月 中丸哲
普通に進めると49飛に47桂合で逃れるので、あらかじめ68角、同龍の2手を入れて48歩合を引き出したいが、初形のままでは77香が邪魔で角を引けないので序盤に色々やって香を動かしておく。

いのてつさん詰工房行ってるんですか。

いのてつさんは常連ですよ。

最近のメンバーだとかいりゅーさんとか気になってます。

かいりゅーさんは芹田さんのお気に入りです。

よく絡んでますよね。

2人でよく三次会に行ってますね。

大崎さんは詰工房来ないんですか。

自分にとって詰工房は居酒屋で誰の横に座るか勝負なところあります。

最近は人も少ないから勝負もないですよ。

6月行きますか。

話してみるとネタは思いつくもんですね。

今日やらなかったけど符号も使いたかったんですよ。45とか29とか。

今日のテーマが難しいんですよ。駒種や符号と組み合わせるならもうちょい簡単なやつがいいです。

誰も言わなかった
詰将棋用語集から選んでるから馬屋原さんのせいですね。

あれは名前が面白い用語を選んでるらしいですよ。

セルフピンとかバッテリーとか簡単なのも載ってたんでそれが出たらよかったんですけど。

最初が最小公倍数だったんできつかったですね。

駒種はブルータスとかならいけるんですけど。

かえって漠然としたネタが出たから良かった面もあるかも。

意外とテーマだけでも話せましたね。

これサイコロでもカードでもいいから詰工房の2次会もっていったら盛り上がりそう。

すべらない話みたいな感じで。カード引いた人が小ネタを出すとか。

詰まらない話?

いいですね。詰まらない話カードつくりましょう。

詰将棋用語集ってたまに誰かが作るけどまとまりきらず終わっちゃいますよね。

そうですね。ウィキとかあったけど。

鈴川さんに発注したらおしゃれなカードにしてくれるのかな。

また第2回やりましょう。

これあんまり一般向けではないですね。一般向けに説明しようとするとめんどくさいので、配信とかではなくて身内でやるのがよさそう。

あいばさんが解説しながら編集してくれたら普通の人も見れるかもしれません。