前回の記事に対して興味深い返信をもらった。
大駒が近づくと後の転回時に不利という意味合いの手を、小生は「鶴田康雄手筋」と呼称しています。
— 奥鳥羽生/神在月生 (@kannaduki_1949) October 27, 2019
今回提示の若島作は異なるも、少し前の同氏作将世巻頭作は転回時に合駒を稼ぐというものですが、
合駒稼ぎでなく転回時に玉に接しないという意味なのが、この金子作や鶴田康雄看寿賞受賞作など。
昭和63年度看寿賞 鶴田康夫作
84桂、同歩と捨てて、普通は74龍の一間龍を狙うところだろう。ところがそれでは62玉、51馬、53玉でどうにもならない。
しかしこの局面でもし74龍が75にいたら
55龍と回って簡単である。
そこで戻って3手目は75龍が正解手ということになる。対して74歩と弱い中合では73金から84龍で詰みなので、74金と強い駒を渡すしかなく、以下紐なし馬捨ての収束。
で、この75龍が金子作にも通じる「近づくと損をするので、あえて遠ざかる手」というわけだ。
なるほど。昭和63年看寿賞。看寿賞作品集で一度は見たことがあるはずだけど、すっかり忘れていた。鶴田手筋、今度は自分でも作ってみよう。