書きかけのブログ

詰将棋について書くことがあれば書きます

君は大学半期賞渡辺作の凄さを知っているかの補足

前回が最後駆け足で終わってしまったので、もう少しだけ。

kakikake.hateblo.jp

まず青木作。

最初に移動できるのは赤の4マス。ここから中合で角を右上に近付けると、黒いマスには受方の桂が利いているので角が移動できるマスが1つずつ減っていく。

渡辺作も同様。

黒いマスには香が利いていて、馬が右下に近付くごとに移動できるマスが減っていく。

青木作は香を接合することで、その角筋と、斜め下の角筋を2つ同時に止めることができる。この効率のいい接合を繰り返すことによって最初に4マスあった角の稼働マスを3枚の香で止めることができるという構想だ。

一方、渡辺作は歩合で、枚数も4枚以上持ってるので実質制限がない。ところが歩を打てる筋が5筋から左に限られている上に、二歩の制限で同じ筋には打てないので、受方は接合することが歩を最大限に使う唯一の手段になっているのだ。

青木作はオーロラから続く歴史の上にあって、香の利きを使って作者がひねり出した連続合という印象だけど、渡辺作は近付くと可動域が減る馬と二歩というルールから連続合が自然発生したような感覚があって、何度見返しても不思議な作品である。