書きかけのブログ

詰将棋について書くことがあれば書きます

第6回 詰将棋サイコロトーク 詰将棋の誕生から墓場まで

 

詰将棋の誕生」まだ全部読めてないんですけど、どうでした?
面白く読みましたよ。ただ、やっぱり自分はそこまで古典に興味持てなくて。本には後世の人に昭和の詰将棋史を再評価してもらいたいと書かれてましたけど、読みたいのはどちらかといえばそっちでした。昭和の詰将棋史。上田さんと若島さんが当事者として振り返ってくれたら最高です。
詰将棋の誕生ならぬ詰将棋の成長ですか。次のこの詰のテーマにできそう。
詰将棋には誰でも使えるデータベースが無いから研究がやりづらいって話もありますよね。全詰連が月額500円とかのサブスクでやってくれないかな。
昔、趣向作の前例調べるのに国会図書館行ってました。
私はくるくるおもちゃ箱を一通り見ます。
くるくるおもちゃ箱なんだ
簡単にアクセスできるところがそれくらいしかないので。でも400作くらいあって意外と網羅的ですよ。
いのてつさんの作品ってオリジナリティありすぎて人との衝突を心配する必要なくないですか。初期いのてつですか。
そうです。10代の頃。詰パラのバックナンバーは柳原さんに貰ったんですけど、イオニゼーションとかは近代将棋なので国会図書館で読みました。
いのてつさんにも図書館に通う下積み時代があったんだなあ。柳原さんは初期いのてつの才能をよくぞ見抜きましたね。

 

若島さんは古典を勉強しなければいけないというけど、古典を勉強して伝える人と、アイデアを考える人と、作る人が別でもいいのかなとは思ってます。
詰将棋創作カンパニーだ。
自分の経験や最近の若い人を見てると前例を知らなくてもインスピレーションで新しいものを作れるので、過去の作品と比べて新しいのかどうかは本人がやらなくても周りの人が判定してあげればいいのかなとは思います。
知ってる方が自分の身は守れますよ。昔、取らせ短打を知らない頃に森田手筋を見て、短打にアレンジして投稿したら「取らせ短打ですね」と一蹴されて悲しい思いをしたので。もちろん知らずに新構想になる可能性もあります。
勉強するにしても、作りながら勉強してほしいです。若い人には創作にハードルを感じないでほしい。
若いときは作れますもんね。今でこそインプットがないとなかなか作れないですけど。若い人は作ることを大事にした方がいいですね。
知らないから作れることもありますからね。
幻日環もある意味。
メガロポリスに引っ張られなかったが故に成立しましたね。
LCMも。
あれは偶然の産物で、龍追いでガチャポンをパクろうとしてたらガチャポンの構造を2個作る方が簡単なように見えてきて、最初は右と左でやってたんですけど、お風呂入ってるときに下は大火事、上は大水で上下でやるのを思いつきました。いままでの発想に引っ張られない方がいい場合もあります。
岩村くんも前例詳しくないと思うんだけど、意外と詳しいのかな。

 

詰将棋の昭和期を語るとして、どういう切り口になるんでしょうね。
「上田若島の影響」という軸がひとつあるのかなと。
それはありますね。いま思いついた仮説なんですけど、構想作でも収束決めないといけないってなったのって割りと最近ですよね。その理由は、ファンタジアに影響を受けた人たちがファンタジアの価値観で構想作作るようになったからじゃないですか?
自分は10年前くらいに解答選手権に作品を出して、世界のハシモトさんに「収束がなあ」と言われてそこから意識しました。
じゃあ違うか。
詰将棋の誕生」に看寿は最少枚数で作っていて近代的と書いてあったんですけど、最少枚数で作るのを良しとする価値観も看寿から上田若島まで飛ぶような印象があります。
上田さん若島さんより前だと巨椋鴻之介さんとかもそういう系統な気もするし、山田修司さんもある意味それに近いんじゃないですかね。
山田修司さんこそ最少枚数にこだわらない作家だと思ってました。でも実際に「夢の華」開いてみると意外と駒数少ないな。
洗練されてる方だと思いますよ。
山田修司さんは最少枚数ではなく演出にこだわる作家だと思ってます。若島さんはもっと原理主義的で「これもひとつの作品」という言い方をされますよね。
私も元の狙いが無茶なことをしてるから駒数多いイメージありますけど、その狙いの中では最少枚数にしようとは思ってますよ。
馬屋原さんは2000年代の作家として最少枚数を意識してると思うんですけど、ファンタジアが2001年の本なので、90年代の作家にもそういう意識があったのかどうか。

 

看寿以来、後世に影響を与えた作家は上田若島になるのかもしれないですね。私が影響を受けたから言ってるだけかもしれないけど。
私はおもちゃ箱です。
現代的だな。
上田さんから影響を受けたっていう話はよく見ますよね。持駒変換の抽出とか。
持駒変換と、「五月晴れ」「モザイク」の遠くから駒をはがしていく連取りの組み合わせで新世界系の超長編が生まれたので、影響大きかったですね。
現代の作家にはもう上田若島の直接の影響は無いんですかね。
仲村勇之助くんはシナトラくんが先生だって言ってました。
それは新しすぎるな。あと何年かして言われるなら分かるけど。少し前だと好きな作家宮原航って人多かったですよね。
宮原くんを好きな作家に挙げるのは年配の人も多かったから、影響を与えたかは別の話な気もする。現代は分野も細分化されてるから影響をはかるのは難しいですね。久保さんは若島さんですか。
かなり若島さんです。構想作を作ろうと思ったのも若島さんがきっかけなので。ただ、新しい時代の若島さんの作り方にはあまり共感しないです。
新時代だと相馬さん?
相馬さんは同じところを志して、より先を行かれてる印象ですね。一番やばいなと思う作家です。肩の力を抜いた短編は私も作るんですけど、相馬さんはそれもクオリティ高いんですよ。私の完全上位互換と言われても認めざるを得ない。感性が合うので作品出してくれるのは嬉しくて、刺激されるところがあります。
相馬さんこそ将来「詰将棋の成長」で取り上げられる作家ですよね。
現代の構想作を語る上で外せない作家は誰と言われたら満場一致で相馬さんでしょうね。
でしょうね。
でも大崎さんがいるから言うわけじゃないけど、大崎さんもすごいなと思ってて、昔はあんま思ってなかったんですけど。いろんな構想を考えたときに、大崎さんの作品を参照することが多いんです。将来、構想作を語ったときに、大崎作が節目節目に入ってくる可能性はあるなと思ってます。
人の作品をパクって作ることが多いので、そういう意味では詰将棋の成長に貢献してるかもしれないです。
パクるって大事ですからね。パクるっていうとネガティブなイメージあるけど、構想作はパクった上で何を付加するかですから。
自分の弱みはゼロイチがないところです。
私は変なところでゼロイチ目指してます。最近だと「八方塞がり」とか。
変なところじゃなくても名誉手筋とか馬屋原原理とかありますよ。
名誉はまだブルータスの発展と言われたら分かるけど、原理の方はみんなが見てるところと違うところを見てる感じはしますね。
馬屋原原理が「パラレル」に至るまでの流れ好きなんですよ。
私や大崎さんの創作姿勢を如実に示してますよね。ゼロイチの馬屋原さんから始まり、大崎さんがアレンジして、私もアレンジして。
決定打を出してくるのが久保さんですね。
「パラレル」は収束もこだわってます。あれがゼロイチで作れたらよかったんですけど。
誰か好きな作家で大崎を出してくれてもいいのにな。
名作選で好きな作家を聞かれた頃は大崎さん冬眠してましたからね。いまならいてもおかしくないんじゃないですか。でもわかりますよ、私も名作選の好きな作家アンケートに入ってないので。いのてつさんと馬屋原さんはありましたね。
次また好きな作家アンケートがあったら共謀してお互いに名前出しましょう。
ひどい談合だ。