書きかけのブログ

詰将棋について書くことがあれば書きます

マジカルワールドに王はいるか

2015年5月 デパート 高野真人氏作 「マジカルワールド」

33銀不成、54歩、24銀成、同玉、68馬、46歩、同馬、同香、
23桂成、同玉、22飛、14玉、15歩、同玉、75飛、55歩、
16歩、14玉、74飛、54桂、同飛、同馬、26桂、
まで23手で詰

詰工房でなぜ17が王なのかという話になった。

この作品の狙いは9手目23桂成と捨てて、同玉に22飛と打つところにある。

桂を捨てずに22飛と打つと、14玉、23飛成、15玉、75飛で。

55桂合とされ同飛、同歩で27桂が打てない。

この紛れのために17王なのだろうか。しかし75飛には55歩、同飛、45歩とされても詰まないので17が王である必要はない。

ここまでが詰工房で出た話。

そのあと詰パラの解説を読んでみた。46歩を馬で取らずに、22飛と打つ紛れがあるらしい。つまりこう。

これには14玉、23飛成を入れてから15玉とし、75飛に55桂合が唯一の受け。同飛、同歩とすると72馬が27まで届いてぴったり受かっている。

と解説にはある。(厳密に言えば「唯一の受け」は誤りで、75飛には55歩、同飛、45桂、同飛、同馬としても馬が27に利いて詰まない)

このために17王なのだろうか。

しかし仮に27桂を取る手が逆王手でなくても、同馬、16歩、同馬とされ、さらにこの馬を取れたとしても16王、同玉で詰まない。

実は馬を少し離せば17王は銀にもできる。

59馬、37香のバッテリーが無くなったので37香開き王手の紛れは無くなったが、まさかそれが17王の理由とも思えず、いまだ謎のままである。

ところで本作、最後の54桂合が非限定と解説には書いてある。

だが、ここで桂合以外だと15歩、同玉、26龍、14玉、54飛、同馬、15香(とか23角とか)という迂回含みの余詰が発生するので、ただの非限定ではない。

10年前くらいは、この手の非限定は希望限定と呼んで(少しだけ許容されて)いた気がするのだけど、今はどうなのだろう。「玉方余詰回避義務」ともいえる謎慣習だったので、かつての無駄合いのように今は無くなっていても不思議ではない。